VOL.4 秋刀魚の味

VOL.4 秋刀魚の味
by 花時間編集部

こんにちは。
東京・恵比寿で「ほねラボラトリー魚のほね」を営んでいる櫻庭基成郎です。

今年は大変暑く、「猛暑」という言葉がよく当てはまる厳しい夏となりました。秋にさしかかる今も、暑さが衰えないですね。

今回は秋刀魚についてお話しさせていただきます。

秋の季語といって真っ先に思い浮かべる魚は、秋刀魚(さんま)とお答えになる人は多いと思います。しかし、ここ数年は入荷も少なく、か細い個体ばかりで、以前ほど食べる機会も減っていたと思います。

ところが今年は10年ぶり豊漁で、秋刀魚といって皆さんが頭に描くあのサイズのものも、水揚げされています。秋の刀魚、秋に獲れる刀のような魚とイメージがつきやすい、秋刀魚の復活です。

秋刀魚といえば詩や映画の主題になるほど、大衆的で生活に根差した馴染み深い魚です。家庭の象徴といった風情で描写されていていて、一人身で食べるさんまを「寂しさ」として表現されることが多々あります。

世代によって変わるとは思いますが秋刀魚のイメージは、庭先→七輪→煙→団扇→大根おろし。そして、食卓に並ぶ頭も尻尾もついている1本の秋刀魚が思い浮かぶのではないでしょうか。

 

現在は流通がよくなり、生の鮮度の高い秋刀魚が入手しやすくなり、刺身やマリネなど生食で召し上がる事も日常的になりました。

しかし秋刀魚の醍醐味は、芳ばしく焼き上げられ己の脂で燻された香りだと思います。


ちなみに秋刀魚の旬といえば、名前の通りと思われがちですが、秋刀魚は餌を求めて北太平洋を回遊し産卵の為南下します。その7月の終わりから8月のお盆前が、本来の美味しい時期で、透明感のある脂とわたの甘さで、さんまの醍醐味がダイレクトに楽しめます。獲れ場としては北海道が私の好みです。



辛い夏大根をいっぱいおろし、生醤油をかけてすだちを振って、いただきましょう!

さんま さんま
さんま苦いか塩っぱいか。(岩波文庫 春夫詩抄より )

炭で焼いた塩焼きの秋刀魚を大事な人と囲めば、苦くもしょっぱくも、その味は、極上のものになりますね。

日本料理は旬を味わう料理で一つの料理にも文化と歴史、作り手の思いが詰まっています。その思いの集大成が「おせち」です。おせちの料理一品一品に意味がありその意味を噛み締めながら、年始を家族とお祝う華やかな花おせちご用意いたしました。

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by 花時間編集部

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大切な人と迎える新年を明るく、華やかに!