SNSで人気のある写真には共通点があります。それは、写真がきれいなこと。ここでは、自然光を生かして、花が見違えるほど、きれいになる方法を紹介します。
スマホでもきれいに撮れる花の写真、基本の「き」
Q1 狭い家の中でも確実にきれいに撮れる場所は?
A 窓辺にテーブルを置いて“スタジオ”作りを
花は繊細な色と質感で形成されています。そんなデリケートな花を忠実に描写するには、自然の光で撮ることが基本。蛍光灯などの照明の下では、花弁の柔らかさや微妙なトーンはかき消されてしまいます。
晴天か曇天の日の日中に、白い薄手のカーテンをかけた窓辺に、テーブルを置いて撮影を。白いカーテンは直射日光をやわらげ、花の質感をソフトにする必須のアイテムです。無地でもレースでも光を通すものを選びましょう。
MEMO
・場所は窓辺。
白い薄手のカーテンを窓にかけて
・花にやさしい天気は、晴れた日か曇りの日
・太陽が白く見える日中に撮影しましょう
・部屋の照明は消していますか?
Q2 花をふんわりとやさしく撮るには、何が肝心?
A 光の方向を知ること。最適はサイド光と逆光
光には方向があります。逆光、サイド光、順光。サイド光と逆光の間は半逆光といいます。光が正面から当たる順光は、花の影が消されて、微妙な質感を消すのでNG。花の横から光が当たるサイド光と、花の後ろから当たる逆光が花には向いています。
カメラと花、光の関係
順光/花に正面から当たる光
上の図を見て。順光は太陽を背にして撮影する状態で、室内では窓を背にした状態となります。正面から光が当たるため、平面的な印象になり、花にあるはずの透明感もすっかり消えてしまいます。
逆光/花の背後から差す光
背景が白く飛び、清涼感満点に。アレンジの輪郭に透明感がある一方、手前は暗い影になります。レフ版を組み合わせることで(左ページ参照)、全体に明るく、軽やかに!
サイド光/花の横から入る光
光が当たる横側は明るく、反対側にいくに従い、自然な影ができます。これがサイド光の特徴。花の繊細な凹凸に合わせて、陰影ができ、アレンジに自然な立体感を与えます。
MEMO
暗い赤やカップ咲きは半逆光がおすすめです
逆光が不向きな花もあります。まず、暗い赤や紫色の花。逆光撮影では背景と花のトーンが違いすぎ、ハレーションを起こすのでNG。カップ咲きのバラも色にかかわらず、中のくぼみが暗く写ってしまいます。いずれの場合も最適なのは半逆光(右図参照)。光を受ける側にレフ板を立てるとさらに明るく。
Q3 アレンジがいちばん素敵に見える角度はどこ?
A アングルは3つ。いちばん見せたい部分を整理して
大別すると、真上、真横のほか、アレンジを斜め上から覗き込むようにして撮る方法があります。斜め上からの利点は花に寄れて、アレンジの輪郭と器も部分的に写せることです。それに対して、整然と整ったイメージの真上と真横。どこをどう見せたいか、画面を見ながら検討を。
真上から
いけた器がほとんど見えないものの、バラの花顔はしっかりアピールできます。
斜め上から
花と器の丸みがわかり、立体的に。ただし、全体のプロポーションはゆがみます。
真横から
器の形がやっとわかりました。真横は高さのあるアレンジに向いています。
Q4 花の写真は縦と横、どちらが向いている?
A アレンジの形と伝えたい印象で選択
横の画面を「横位置」、縦の画面を「縦位置」と呼びます。肉眼で見たときと同じ自然さがあるのが、横位置。それに対して、縦位置は非日常の風景として印象づけられます。アレンジの全体像を写したい場合、横広がりなら横位置。高さのある花は縦位置で。
縦位置
上に空間があるため、斜めに挿した枝が、のびやかに。緊張感のある絵になります。
横位置
安定感や穏やかさは横。左右に空間ができるため、ゆったりとした印象に。
花とスタイリング・柳澤麻衣 撮影・山本正樹