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すっきり、みずみずしいアルストロメリア。小輪タイプに注目|花のある週末、はじめませんか Vol.29

すっきり、みずみずしいアルストロメリア。小輪タイプに注目|花のある週末、はじめませんか Vol.29

こんにちは!「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?

4月第2週のおすすめは「アルストロメリア」

4月のウィークエンドフラワー.その1アルストロメリア(和名:百合水仙、夢百合草 英名:Lily of the Incas)
●原産国:チリ
●主な生産地:長野県、愛知県、千葉県 ほか

花散らしの冷たい雨、桜に雪化粧…。こうも目まぐるしく天候が変わると、体調管理も大変ですよね。

桜のシーズンを追いかけるように、花屋さんの店頭に並ぶ花々は、春から初夏へ、まるで衣替えするように一気に変わっていきます。いまはちょうど端境期で、その4月に旬を迎える花が「アルストロメリア」。南米アンデス山脈に自生するエキゾチックな花で、“インカの百合”とも表現されます。

アルストロメリアは、日本には大正時代に渡来したとされ、国内では長野県が約35%のシェアを誇るトップ生産地。1998年に開催された長野オリンピックで、メダリストたちに渡されるビクトリーブーケに使われたことで一躍有名になりました。年間を通じて出回るなか、これから初夏に向けての時期が、もっとも多くの品種を楽しむことができます。

花屋さんの店頭でも、色とりどりのアルストロメリア!ちょうどフェアの最中でした(4月7日撮影)

アルストロメリアは、1本にたくさんの花をつけ、ボリュームたっぷり。華やかで花もち抜群、値段も控えめ! とにかくコスパが素晴らしいのです。高冷地の爽やかな空気を運んできてくれるような、すっきり軽やかな花姿が美しいですね。デイリーな花飾りにぴったりです。

アルストロメリアの大きな特徴でもある、花弁に浮かぶトラ柄のような茶色の斑点。ワイルドな魅力を感じる一方、斑点模様が濃すぎると他の花とあわせにくい…といった一面があり、好みが分かれる花、というイメージ。が、そんなアルストロメリアの花事情は、ここ10数年で随分変わってきているのです…!

昨今、千葉県「三宅花卉園」の育種家・三宅勇さんの手で品種改良が進み、花弁の斑点がない“スポットレスタイプ”が生まれました。さらに、原種や原種に近い、野性的な美しさを放つ可憐な草花のようなバラエティも増え、4月はそれらすべてを楽しむことができます。今回は、いろいろなタイプのアルストロメリアを紹介しましょう。

原種系の爽やかな品種に、初夏の枝もの、リョウブを合わせて。

野趣溢れる原種系のアルストロメリアで、優しいシノワズリ

世界的にも希少なアルストロメリアの原種である「カリオフィラエラ」を交配した、三宅花卉園オリジナル品種「ヴァンベール」。野に咲くような可憐で素朴な花姿、小さな1本にも孤高の美しさが宿ります。

花を取り巻く笹のような細葉も美しいので、なにかグリーンを足さずとも、この花だけで十分絵になり素敵です。花合わせなど難しく考えずに、気軽に飾れることもアルストロメリアの魅力ですね。

どこか長閑なアジアンムード、リラックスした優しいシノワズリを楽しみましょう。

■材料(花材費合計=1500円前後)

●花材
*アルストロメリア「ヴァンベール」/4本 
※原種系は希少なため、一般的なアルストロメリアより1本あたりの単価は高めです。

●器について
アジアンムードを意識して、籐が巻かれた花器をチョイスしました。こちらはインテリアショップ・アクタスにて購入したものです。原種系アルストロメリアの楚々とした風情にあわせて、吹きガラスのような素朴な手触りがする花器や、オリエンタルな雰囲気の茶筒のようなアイテムも器に良さそうですね。一輪挿しにさらりといけても、涼しげで素敵です。

●コーディネイトについて
台湾で買い求めた茶器を合わせながら、ゆっくり台湾茶をいただきます。画像は黒いシックな茶器ですが、カラフルなシノワズリ調の花柄の茶器なども似合うと思います。

■3ステップで簡単アレンジ

①アルストロメリアのみのアレンジですので、3ステップもありませんが…、まずは切り花鮮度保持剤を適量加えた水を入れます。

②花の周りの葉は残しつつ、水に浸かる下の方の葉は取り除きましょう。

③いける花の長さは、器の高さ:器から出ている花の部分=1:1くらいが、バランスがよいでしょう。原種系のアルストロメリアは、花が小さく軽やかなので、1~2本くらいの分量なら、1:1.5くらいまで長めにいけても、可憐さが引き立ち、美しいです。今回のように4本の場合は、花の頭のボリュームが大きくなるので、1:1くらいがちょうどよいです。

■アルストロメリアを長く楽しむコツ

もともと花もちがよいですが、さらに長く楽しめるコツをお伝えします。

*花弁が透けていない、葉が黄化していない青々したものを選びましょう。
*茎を潰すと水が下がりやすくなるので、よく切れるハサミでスパッと切り戻します。
*栄養が必要な花なので、必ず切り花鮮度保持剤を使用してください。つぼみまでよく咲きます!

最近、小輪系のアルストロメリアのバラエティが増えてきています。

上の画像↑は、「ブライズメイド」という人気品種。淡いピンクが桜のシーズンにぴったりですね。アルストロメリアというと、羽子板の羽根のような花ですが、こちらは小さな丸弁がかわいらしい花。段々に縦列に咲いている様子は、一見、ランようにも宿根スイートピーのようにも。アルストロメリアのイメージを変えるニュータイプです。

よく観察するとわかりますが、こちらは花粉がない“無花粉タイプ”。とても花もちがよく、次々と花を咲かせながら、3週間ほど楽しめます! ボリュームがあり、明るいグリーンの小葉も美しく、2本もあればたっぷり、といった印象。たくさん分岐している茎も長いので、小分けにカットしてアレンジしてもよいですね。

小輪アルストロメリアと野花で、初夏を迎えるバスケット

1本で最初からブーケのような花つきの「ブライズメイド」をメインに、初夏のミニ花束を作ってみましょう。「ブライズメイド」の葉が美しいので、ほかにグリーンを用意しなくても大丈夫です。

■材料(花材費合計=1200円前後)

●花材(画像左から)
*ツインキャンドル/2~3本
*アルストロメリア「ブライズメイド」/2本 
*ニゲラの実/2本

■3ステップで簡単アレンジ

①バスケットの中に器を仕込み、切り花鮮度保持剤を適量加えた水を注ぎます。

②すべての花材を、バスケットの高さの2倍くらいの長さにカットし、水に浸かる部分の葉を取り除きます。

③アルストロメリア2本を手に持ち、花の合間合間にニゲラの実を添え、アクセントにツインキャンドルを混ぜながら、手の中で丸くブーケのように束ね、茎を切り揃えます。ブーケ状のまま、そっと器に入れます。花を垂直に立てず、やや手前に傾けるようにあしらうのが、素敵に見えるポイントです。

シトラスカラーの花で、爽やかなリビングフラワーに

画像は、2本のアルストロメリア「ハニーソフィア」を、ガラスのキャニスターにシンプルに飾っている例です。飾って5日めの様子で、次々とつぼみが咲き、1本の中でグラデーションを織りなす花色が美しく、とても見ごたえがありますね! これで600円前後(1本300円前後)ですから、やっぱりお得です。

雄しべの先端、花粉部分の「葯(ヤク)」を取り除くかどうかは、お好み次第。取り除く場合は、指でつまんでそっと引っ張れば、簡単に取れます。画像下は取り除いた状態、より爽やかな印象になりますね。

個人的な考えですが…、ユリやチューリップ、グロリオサのようなユリ科の花や、アルストロメリアは特に、ほかの花々と混ぜずに、それだけをばさっといけるほうがモダンで素敵だと思うのです。キメ過ぎない無造作な抜け感が、かえっておしゃれ。部屋に花をどう飾れば?という質問には、「気に入った旬の花を1種」飾ることをおすすめしています。

海外のインテリア本や、おしゃれなインテリアショップの花飾りを見ても、アルストロメリアはそれだけでたっぷりと飾られていることが多いよう。画像下は、つい先日、人気セレクトショップで撮影させてもらったディスプレイのアルストロメリア。トレンドカラーのコーラルピンクが初夏の洋服に映えて、とても素敵でした。

人気セレクトショップ・ロンハーマンのディスプレイ。アルストロメリアがたっぷりと飾られていました(4月9日撮影)

つぼみが咲き進み、葉の勢いがなくなってきたら、スプレー状の花を小分けにカットして、花だけを集めて小さな器にいけかえても素敵です。旬のグリーン、リキュウソウをさらりと添えて、軽やかな初夏のあしらいに。鮮やかなオレンジ色のアルストロメリアからは、元気をもらえますよ!

昨夏のことですが、長野県上伊那郡の「信州片桐花卉園」へお邪魔する機会がありました。ふたつのアルプスに抱かれた信州伊那谷、山から湧きいずr清流も美しい片桐花卉園は、アルストロメリアの他にユニークな草花を何十種と生産している、フローリスト垂涎の産地です。6月後半、アルストロメリアはもう終盤のタイミングでしたが、花の先進国オランダでアルストロメリアの研鑽を積んだ若手生産者・片桐鏡仁さんのお話をたくさん伺いました。

トレンドの最先端をゆくフローリストたちと親交が深い片桐さん。普通のアルストロメリアに飽き足らない彼らの心をくすぐる、ちょっと趣のある品種が得意です。繊細な和の風情が美しいスポットレス品種の「おぼろ月」をはじめ、フローリストの声を敏感に取り入れながら、オリジナル品種の育成にも力を注いでいます。

最近は、小中輪系品種の作付けがほとんどで、画像上の「グリーンもじゃ」は、ネーミングは変ですが(失礼!笑)、期待をかけているオリジナル新品種だそう。透明感溢れる淡いグリーンと、踊るようなウェーブ咲きが魅力です。そして、目が釘付けになるほどインパクト大の八重咲きアルストロメリア、「エクスプロージョン」というクセがすごい品種も! 野性と洗練を併せもつ美しさで、とても衝撃的でした。

アルストロメリア、まだまだ進化していきそうで、これからが楽しみですね。

新年度、環境が変わって緊張が続く心身を、そっと癒やしてくれるのは花のある空間。花に触れるだけで思いのほかリフレッシュ!ささやかなリビングフラワーが、心を落ち着かせてくれますよ。1週間がんばった自分のために、家族のために、ぜひこのウィークエンドは花を飾ってみて。

ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

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Produced by WEEKEND FLOWER

Profile小川典子

(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/フラワーシーンプロデューサー。会社勤めの傍ら23歳から本格的にフラワーアレンジを学び、(株)ワコール、キリンビール(株)の花部門、食品部門のマーケ...アーティスト詳細を見る

この連載について

花のある週末、はじめませんか

週末は花を飾って、季節を感じてみませんか。「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子さんの提案です。花瓶がなくても、旬の花と身近な雑貨で、SNS映え抜群のワンシーンが描けます。