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日本人好みのバラを海外で探して、市場へ。『京成バラ園芸』千葉・八千代|知りたい! 花産地のこと Vol.3

日本人好みのバラを海外で探して、市場へ。『京成バラ園芸』千葉・八千代|知りたい! 花産地のこと Vol.3

バラの育種を手掛け、国際的なコンクールでの受賞実績をもつ『京成バラ園芸』。バラ庭園に咲くバラ苗から、切り花用のバラ苗までを取り扱っています。同社の特徴は、オリジナル品種のほか、海外からのバラ苗を日本の市場へ出していること。彼らの審美眼にかなったバラたちが日本で販売されているのです。

世界のバラを、日本に紹介

『京成バラ園芸』は世界に誇れるバラの作出と、世界のバラの文化を広めるため、1959年に設立されました。日本のバラ育種の第一人者として、ミスターローズと称される鈴木省三氏が、初代研究所所長です。同社は世界のバラコンクールで、これまでに数々の賞を受賞。一方で、世界中の著名な庭園用、切り花用のバラを日本に紹介してきました。

たとえば、切り花で大人気のイブピアッチェは、同社が日本に導入したバラのひとつ。フランスの品種です。2008年に発表され、切り花用の赤バラの代表品種、サムライ08も(和風の名前ですが)、同じくフランス生まれ。最近人気のスプレーバラ、ピンクレースやアンティークレースは、オランダのバラ。各社から導入した品種のなかから、たくさんの人気品種が誕生しています。

「品種選びは、まず、現地の圃場へ向かうこと。咲いたバラを見ることから始まります」と語るのは、バラ営業部の久田泰之さん。久田さんたちが新品種を求めて、毎年訪れるのはオランダ、フランス、ドイツなど5社の農場。広大な農場に咲くバラのなかから、その年の逸品を選び出すそうです。

写真は、オランダインタープランツ社の切り花用の試作温室。広大なハウスに植えるバラは、1品種ひと株でこのボリューム。膨大な新品種のなかから、日本でお目見えする新品種を選ぶわけです。

「いい品種に出合えるかどうかは、巡り合わせといってもいいかもしれません」と久田さん。新しい逸品を見つけ出すのは、まさに宝探し。無数のバラのなかから、心を動かすバラに出合えるかどうかは、偶然に近いことなのかもしれませんね。

こちらは毎年訪れるドイツのブリーダー、タンタウ社のポスター。受粉から始まり、種から芽が出て、開花するまでを1枚のポスターで紹介しています。

「これぞと思う、いいバラを見つけたら、それが日本人好みの色や形のバラか、生産性や耐病性に優れたバラなのかなど、さまざまな点をチェック。経験とデータからバラを見極めます」と久田さん。切り花用のバラは、美しさ、香りなどの魅力に加えて、たくさん咲く生産性が高い品種であってこそ、生産農家に勧めることができるわけです。

また、庭園用の品種は一般向けのため、ブリーダーは切り花品種以上に長い時間をかけて試作。花の魅力や耐病性、耐暑・耐寒性を見極めています。

上記で紹介した、タンタウ社が庭園用のバラ苗を生産する広大な畑が、この写真です。はるか向こうまで同じバラの帯が続いています。

こうして海外で育種された品種は、日本に向けてセレクトされ、さらに試験栽培されます。ヨーロッパの気候や土壌できれいに咲いたからといって、日本で同じように咲くとは限らないからです。日本の圃場で試作したのち、さらに選抜され、日本デビューを果たすというのですから、バラが私たちの元に届くまで、気が遠くなるような時間と労力ですね。

1万株のバラが出迎えるバラ園

千葉県八千代市にある「京成バラ園」は、日本を代表するバラ園のひとつで、同社が運営しています。広さ3万㎡を誇り、原種、オールドローズから最新品種まで、1600品種1万株の多種多彩なバラが彩るガーデン。国内外の庭園バラが観賞できます。

アーチ、スクリーン、パーゴラ、ポールなどの仕立てを楽しみ、園内を巡りながら、バラの歴史をたどることもできます。

上の写真の奥に見えるガゼボは、ブライダルの第一人者、桂由美さんがプロデュース。ガーデンウエディング会場になることもあるそう。バラに囲まれたウエディングは夢のようですね。

また、春と秋のバラの季節は、さまざまなイベントが目白押し。育種家やガーデナーなど、バラに関わる著名な人たちのセミナー、ガーデンツアーなどをたっぷり開催し、毎回盛況です。

そのほか、ローズガーデンに咲くバラや植物、園芸用品の販売をするガーデンセンター、バラをモチーフにしたグッズを取り揃えるローズショップ、レストラン、カフェなどを併設。たっぷり1日満喫できる施設になっています。

37か国のバラ会が加盟する世界バラ会連合が開く世界バラ会議で、同園は「優秀庭園賞」を受賞しています。世界最高水準のバラを常時展示し、さらにバラに関する知識や魅力を伝える施設であることが評価されたのです。

構成と文/瀧下昌代 撮影/京成バラ園芸

この連載について

知りたい、花産地のこと

素敵な花はどこで、誰が作っているのでしょう。花を見るだけではわからない、産地や作り手のことをお話します。人気の品種や、その花にまつわる最新ニュースも。これを読めば、もっと花が好きになる!?