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東京の隣で、ユリの最新品種を作り続ける『湯浅花園』千葉・市川|知りたい! 花産地のこと Vol.1

東京の隣で、ユリの最新品種を作り続ける『湯浅花園』千葉・市川|知りたい! 花産地のこと Vol.1

甘酸っぱい香りのカモミールが風になびく風景。まるで南フランスの田舎町のように見えませんか? こののどかな風景が広がるのは、千葉県市川市。ユリ栽培で知られる『湯浅花園』の農場を訪ねました。「春のオープンガーデンでは、お弁当を持って遊びに来る方もいるんですよ」と語るのは、同園の湯浅英雄さん。毎年、市川市が行う「いちかわオープンガーデン」に参加し、ゴールデンウィークの時期は農園の庭を開放しています。

創業より50年続く、ユリの生産農園

市川市はナシの生産で知られ、湯浅家も江戸時代から続いたナシ農家。近所には今もナシ畑が点在しています。その果樹畑を湯浅英雄さんが花畑へ変えたのは、今から50年前のこと。足立区にあった腕のいい花生産農家で修行したあと、ここでユリ生産を始めました。

「ユリを選んだ理由は、高価な花だったから。当時、新聞で花の相場を確かめていると、ユリやチューリップの切り花は、驚くほど高価でした。なかでも価格が安定していたのがユリです」。以来50年、湯浅さんはユリひと筋。現在は年間約50品種を生産しています。

もともとユリは種類が豊富ですが、湯浅さんが作る品種は、とりわけ個性的でインパクトのあるタイプ。花びらたっぷりの八重咲きや、シックな色など。オランダの種苗会社が世界に売り出すカタログから、気に入った品種を毎年導入しています。

「このユリは、花びらがバラのように巻くバラ咲き。アプリコットファッジです」と、湯浅さんは、この日も最新品種を見せてくれました。ユリなのに花びらが丸い形。色はユリらしいオレンジ色ですが、バラのように花びらが巻いている珍しい品種です。

世界のユリを視野に入れて生産

「どこにもないユリを作りたい。人気が出てみんなが作れば、潔くさっと手を引く。そんな作り方が私の性分に合っているんですね」。1980年後半のバブル時代には、湯浅さんは、白い大輪のカサブランカをいち早く生産します。「当時、南フランスの球根産地を訪ねると、白いユリ畑が果てしなく続き、圧巻でした…。とにかくカサブランカは大人気。最高価格が今の十倍以上っていうときもありましたから」。ところが、カサブランカが白い大輪ユリの代表になると、湯浅さんはあっさりと、生産を辞めてしまいました。

品評会で数々の賞を受賞し、生産技術は折り紙つきの湯浅さんにとって、個性的な新品種を工夫して作ることがユリ生産の醍醐味。未知なる品種を求める話はオランダからフランス、イギリス、中国、南半球の国々まで広がり、世の中の動きに敏感です。

「でもね、花は賭けみたいなもの。嗜好品ですから、売ってみないとわからない」と、ひとしきり語ってくれた湯浅さん。その情熱は10年前にお話をうかがったときと全く変わりありません。そのときと違うのは、娘婿の友洋さんと一緒に農園を切り盛りしていること。農園に頼もしい二代目の力が加わりました。

乾いた土が質の高いユリを作ります

高台にある2棟のガラス温室は、合計600坪。温室は外側から遮光できるため、夏場は一般のハウスよりも気温を低く抑え、周年出荷しています。ところで、ハウス内は見渡す限り緑一色。開花直前に採花するため、色づいたユリには出合えません。圃場を縦に仕切り、時期をずらしながら球根を植えつけ、ローテーションで出荷します。

それにしても圃場はかなり乾燥しているように見えますが…。「ここは高台で水はけがいい。しかも余計な水を与えずに育てるので、茎が締まったいいユリが育つんです。切り花にして長もちする理由は、そこです」と、湯浅さんは誇らし気に語ります。

水は控え、化学肥料を減らし、堆肥をたっぷり与えて評判のユリを生産。そのため、湯浅さんのユリは、花瓶にいけるとよく水を吸い上げて、色鮮やかに凜と咲き、長もちするというわけです。そんな質のいい、摘みたてのユリは、農園内に併設する「リリーズハウス湯浅花園」でも購入できます。

Data:リリーズハウス湯浅花園

フェイスブック/https://www.facebook.com/yuasakaen
住所/千葉県市川市北方町4-1939-4 
電話/047・338・1202 
営業時間/9時30分~17時 
定休日/水曜
アクセス/JR武蔵野線 船橋法典駅より徒歩15分

構成と撮影と文/瀧下昌代

この連載について

知りたい、花産地のこと

素敵な花はどこで、誰が作っているのでしょう。花を見るだけではわからない、産地や作り手のことをお話します。人気の品種や、その花にまつわる最新ニュースも。これを読めば、もっと花が好きになる!?