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やさしい雨に似合う、梅雨色をまとった6月の花|花のある週末、はじめませんか Vol.33

やさしい雨に似合う、梅雨色をまとった6月の花|花のある週末、はじめませんか Vol.33

こんにちは!「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?

6月第2週のおすすめは「アジサイ」

6月のウィークエンドフラワー.その1/アジサイ(和名:紫陽花 英名:Hydrangea)
●原産国:日本(ガクアジサイ)、東アジア、北アメリカ
●主な生産地:千葉県、群馬県、愛知県 ほか

繰り返す雨の雫は、アジサイを淡い水色から鮮やかな瑠璃色へと変えていきます。水を宿し移ろう花色、時を忘れて見入ってしまいますね。

アジサイの名所とされ、「あじさい寺」とも親しまれる北鎌倉・明月院。他の地に咲くアジサイより、ひと際鮮やかな青であることから「明月院ブルー」とも。第二次世界大戦後、人々の心を癒やすために植えられたそうです。雨に輝く美しいブルーは、時代を越えて、多くの人をやさしく癒やしてくれているように感じます。

梅雨の代名詞「アジサイ」は、日本原産の花木。“七変化”と表現されるほど、色は多彩で、ブルーの濃淡、紫、ピンク、白などがあります。土の酸性度によって花色が変わり、酸性に傾くほど青が強くなり、アルカリ性に傾くほど赤に近くなります。小学生の時のリトマス紙の実験と色が逆になります…!

ガクアジサイは日本に自生するアジサイの原種で、自然のなかはもちろん、街路樹や庭木でもよく見かけます。花店では、5月の「母の日」に向けてアジサイの鉢がたくさん出回るようになりました。一方、切り花の旬は6月。馴染み深い球形に花がつく“手毬咲き”のアジサイに加え、欧米で品種改良された豪華なハイドランジア(西洋アジサイ)などが出回り、さまざまな品種が存在します。北アメリカ原産種の改良品種、アナベルも人気ですね。

八重咲きのガクアジサイも(5月下旬、青山にて)

淡いグリーンのアナベルも素敵です(6月上旬、熱海にて)

圧巻のハウス!千葉県南房総の青木園芸さんでは、素晴らしいハイドランジアを生産しています(2017年6月撮影)

撮影用のアジサイを探していたところ、何ともアンニュイな雰囲気のグリーンパープルのアジサイ、「マジカルオパール」に出会いました。この「マジカルシリーズ」は、オランダで切り花用に育種開発された品種で、織りなすグラデーションはまさにマジック! 1輪でも存在感抜群です。ここでは、ニュアンスカラーをより美しく魅せる花合わせを紹介しましょう。

アンニュイな美しさ、アジサイとスモークツリーの投げ入れ

■材料(花材費合計=3000円前後)

●花材(画像下・左から)
*スモークツリー「ホワイトファー」/小1本
*アジサイ「マジカルオパール」/1本
*ブラックベリー/2本

巨大輪のアジサイは、1本2000円前後と高いですが、それだけの価値は十分にある美しさ! 家庭で楽しむ際は思い切って、上の写真のように短くすると、花が長く楽しめ、きれいなドライフラワーにすることも可能です。花の存在感が絶大なので、他の花を合わせるより、今回のスモークツリーのような季節の枝ものや、ブラックベリーやブルーベリーのような実ものなどを合わせるほうが、アジサイの美しさが引き立つでしょう。みずみずしい6月のガーデンのようなアレンジになれば素敵ですね。

●器について
今回はアジサイの色合いからパープルを拾い、パープルの器をチョイスしました。鉢カバーとしても使えそうな円柱型で安定感があり、大輪のアジサイともバランスが取りやすいサイズです。この器は直径14×高さ14㎝のサイズで、2~4人掛けのテーブルに置くのにちょうどよいサイズ感。食卓など花を低めに飾る際に便利です。色のついた器は選びにくいかもしれませんが、グリーン系や紫系の色合いは、どの季節の花とも合わせやすく、インテリアのアクセントにもなり、おすすめです。

●コーディネイトについて
グレージュの麻のテーブルクロスは、それだけでフレンチな雰囲気が作れるアイテム。使い込むうちに味わいが出てきます。今回は、アジサイのパープル、器のパープルに合わせて、パープルのグラスを合わせました。

■3ステップで簡単アレンジ

①水を花器の8分目ほどまで入れ、切り花鮮度保持剤を適量加えます。スモークツリーの枝は小分けにし、切り口は斜めにカット、枝にハサミでマイナスを入れます。葉は先に乾燥して枯れてしまうので、水に浸かる部分の葉+上部の葉もデザインに必要なければ取り除きます。

②アジサイは花もちをよくするために、ひと手間かけます。いろいろな方法があるなか、家庭でできる、もっとも簡単な方法を紹介しましょう。茎はできるだけ鋭角に斜めにカットします。茎の中に詰まっている白い綿状のものを、ハサミの先端などで掻き出します。これだけでだいぶ水あげがよくなり、花を長く楽しめます。ぜひ、試してみてください。もっとも美しい表情の角度を見つけながら、器の手前の縁に覆いかぶさるようにアジサイをいけます。

③①で小分けにしたふわふわのスモークツリーを、アジサイの背景を取り囲むようにあしらいます。そして、ブラックベリーの実をアクセントに。今の季節は葉も美しいので、葉も生かしましょう。器の口元近くにグリーンの葉が見えると、アレンジ全体が引き締まり、落ち着きます。

■アジサイを長く楽しむコツ

*房状の花をやさしく手で広げながら通気性をよくし、花が蒸れて傷まないようにしましょう。傷んで黒くなっている部分があれば取り除きます。

*茎は斜めにカットし、中の白い綿をナイフやハサミの先端で掻き出すように取り除くと、水あげがぐっとよくなります。上記画像を参照ください。

*アジサイは小さな花(といっても実際はガクです)を、たくさん咲かせるために栄養が必要です。切り花鮮度保持剤を使用すると長く楽しめます。

*少量の水に入れてそのままにしておくと、自然とドライフラワーになります。

今回使用した花で注目したいのは、梅雨空の合間に天に向かい煙立つスモークツリー(けむりの木)。けぶるような姿には、スモークという響きが何ともぴったり。自然が与えし神秘の姿、本当に不思議な植物です。モフモフ・フワフワの正体は、花後に伸びた糸状の花ガラ。淡いグリーン、グレーがかった緑灰色、ボルドーカラーのグラデーションなど、さまざまな品種が出回ります。

春のミモザ同様、インスタグラムなどSNSで、スモークツリーのモフモフの大枝がプチブレイク中! 簡単にドライフラワーにもなるので、部屋のインテリア用に探す方が多いよう。和洋どちらの空間、花にもよく合いますので、この素敵な旬の枝ものをたっぷりと楽しんでください。 

さて、アジサイで思い出すのは長崎に伝わる「オタクサ」の物語。

ときは江戸末期。オランダから医師として来日したシーボルトは、自然科学の研究にも情熱を注ぎ、日本滞在中に数多くの植物の採取と調査を行いました。シーボルトは日本人女性・お滝さんと恋に落ち結婚しますが、スパイ容疑で国外追放となります。シーボルトは後に、日本のさまざまな植物を掲載した『日本植物誌』を刊行。そこで彼は、長崎で採取した空色のアジサイを「Hydrangea otaksa」(ハイドランジア オタクサ)と名づけて紹介したのです。

「日本植物誌」より

「オタクサ」とは、お滝さんのこと。シーボルトは、妻の名を呼ぶときの発音そのままを花の名にしたのでした。が、この命名は物議を醸し学術的には認められませんでしたが、シーボルトゆかりの地・長崎では現在も、アジサイをシーボルトが愛した女性の名「オタクサ」と呼んでいるそうです。

切なくもロマンティックな恋物語に想いをはせて、空色のアジサイを夏のはしりの花々とともにいけてみたいと思います。ひとつひとつの花を絵に描くように、空間を生かしながら涼やかにあしらいましょう。

空色のアジサイと、初夏の花と。同系色の花で描く涼景色

■材料(花材費合計=1500~2000円)

●花材(画像上・左から)
*トルコギキョウ「レイナラベンダー」/1/2本
*アジサイ/1本
*リキュウソウ/2本
*クレマチス「スターリバー」/1本

●器について
木製のトレーの上に、ガラスのピッチャー、グラス大小を置き、それぞれに1種類ずつ花をあしらっています。これらのトレー、ピッチャー、グラスは、昨夏、アクタスにて購入したものです。暑い時期の花あしらいに活躍しています。アクセントに、すりガラス製のキャンドルホルダーを添えました。※キャンドルの火をつける際は、花や葉が燃えないように気をつけてください。

●コーディネイトについて
種類や大きさはバラバラでよいので、夏らしくガラスの器をいろいろ並べてみましょう。空色のアジサイに合わせて、同系色のラベンダー系ブルーの花々を選び、すっきりした印象に。ひとつのトレーにまとめて並べることがポイントです。“しつらえ感”が出て、いっそう大人っぽく落ち着いた印象になります。

■3ステップで簡単アレンジ

①それぞれの器に水を入れ、切り花鮮度保持剤を適量加えます。アジサイは茎を斜めにカットし、茎の中の白い綿を掻き出します。前述の画像を参照ください。

②左のトルコギキョウはスプレー状の花を小分けにし、小さくまとめていけます。右のクレマチスは、長い1本の茎を途中でカットし、短く小分けにしてあしらいます。

③アジサイをいけたピッチャーにリキュウソウをプラスします。蔓のラインの美しい角度を探しながら、流れるようにあしらいます。リキュウソウの1本は勢いよく前方に流し、クレマチスの蔓とやや絡ませながら初夏のみずみずしいグリーンを強調しましょう。小さな世界観のなかに、豊かな生命力を感じることができます。

清涼感のあるグリーンとして人気が高い「リキュウソウ(利休草)」。夏以外の時期も手に入るようになりましたが、旬はちょうど今。この時期には、葉の合間に楚々とした小さな星のような緑色の花を見つけることができます(画像下)。江戸時代に中国からもたらされ、「百部(ビャクブ)」という名がありますが、茶花として珍重されたからか「利休草」と呼ばれるようになりました。この控えめな花姿を、侘・寂の境地に導いた茶人の美意識になぞったのでしょうか、名前の由来は不明だそう。

6月16日の父の日を前に、花屋さんでは鮮やかな黄色のヒマワリや、南国系のトロピカルフラワーたちが存在感を増しています。父の日のフラワーギフトをお忘れなく! ですが、本格的な夏色を手にする前に、梅雨どきの湿った空気に溶け合う6月ならではの美しい花を、ぜひ楽しんでください。

雨の日こそ、家で過ごすひとときのために季節の花を飾って♪  素敵な花があるだけで、家にいるウィークエンドは楽しくなりますよ! ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

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Produced by WEEKEND FLOWER

Profile小川典子

(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/フラワーシーンプロデューサー。会社勤めの傍ら23歳から本格的にフラワーアレンジを学び、(株)ワコール、キリンビール(株)の花部門、食品部門のマーケ...アーティスト詳細を見る