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初夏を待ち遠しくする花、最旬のシャクヤクにときめいて|花のある週末、はじめませんか Vol.32

初夏を待ち遠しくする花、最旬のシャクヤクにときめいて|花のある週末、はじめませんか Vol.32

こんにちは!「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?

5月第5週のおすすめは「シャクヤク」

5月のウィークエンドフラワー.その2/シャクヤク(和名:芍薬 英名:Peony)
●原産国:中国北部、朝鮮半島
●主な生産地:長野県、新潟県、群馬県 ほか

早いもので明日から6月。気づけば道端のアジサイが色づきはじめていて…! 季節はほどなく梅雨へと移ろっていきます。

今週のウィークエンドフラワーは、初夏を待ち遠しくする花「シャクヤク」。1年のなかで今だけのスペシャリテ! 花屋さんの店先では、最旬のシャクヤクたちが甘やかな香りを漂わせながら、私たちをときめかせてくれています。

豪華な花姿と優美な香りで圧倒的な気品が宿るシャクヤクは、「立てば芍薬、座れば牡丹......」と昔から美しい女性になぞられる花。薄絹のような花弁から溢れる透明感、たおやかにまとう甘い香り、そこはかとなく漂うオリエンタルムードが大きな魅力です。

コーラルピンク系の品種「エッチドサーモン」は、美しい花色とカップ咲きの愛らしい花形で大人気!

欧米では「Rose of May(5月のバラ)」とも称され、東洋的な魅力も相まって熱狂的に愛されています。その人気の秘密をひも解いていくと…。マルコポーロが東洋の話を伝えたあと、17世紀中頃のヨーロッパで貴族たちを虜にした「シノワズリ(仏語で中国趣味の意)」は、18世紀になるとフランスを中心に「ロココ」と融合し大流行。19世紀には絵画などの芸術にも多大な影響を与えた「オリエンタリズム(東洋趣味)」「ジャポニズム(日本趣味)」など、西洋の人々の東洋への憧れ(エキゾティズム)に辿り着くように思うのです。

シャクヤクはボタン科ボタン属、花はボタン(牡丹)によく似ていますが、その違いはボタンは”木”で、シャクヤクは”草”という点。英名の「Peony」は双方を指すそうです。漢名は「癪薬」、原産国の中国では根が咳止めの漢方薬とされ、日本にも薬草としてもたらされました。

長野県「みゆきのシャクヤク」の圃場より~輝く花芯も美しい「コーラルチャーム」

平安時代に中国から渡来したシャクヤクは、ひと重咲きで「和シャクヤク」といい、ヨーロッパを経て明治時代に渡来した八重咲きのシャクヤクは「洋シャクヤク」といわれ、同じシャクヤクでも趣が異なります。現在は、和洋それぞれのよいところを掛け合わせた品種や、海外育成種、国内育成種のリバイバルなどバリエーション豊かになり、さまざまな色や咲き方が楽しめるようになりました。最近は、ボタンとのハイブリット品種「オリエンタルゴールド」や「バードゼラ」といった黄色の品種は、これまでのシャクヤクとはまた違う印象で、その圧倒的な透明感に注目が集まっています。

1輪で、もしくはたっぷりと、シャクヤクだけを飾って、ゆっくりと咲いていく姿を楽しむのも、1年に今だけの素敵な時間。また、和洋どちらの花材とも相性がよいので、インテリアや料理のテーマなどと合わせて、コーディネイトを考えるのもとっても楽しいですよ♪

フューシャピンクのシャクヤクで華やぐ初夏の昼下がり

シャクヤクは、ピンクの濃淡、白系の品種が豊富にあります。なかでも濃い赤紫系のピンク=フューシャピンクのシャクヤクは、オリエンタルビューティーな魅力に溢れ、華やかでいてシックな大人っぽい表情が楽しめます。1色でまとめるのも素敵ですが、異なる色合いをグラデーションで集めて飾ると、シャクヤク1輪1輪がダイナミックに変化していく様子をさらに楽しむことができます。

■材料(花材費合計=1500円前後)

●花材(画像下・左から)
*シャクヤク「エッチドサーモン」/1本
*シャクヤク「レッドチャーム」/1本
*シャクヤク「メアリージョーリガー」/1本
*クレマチス「デュランディ」2本

画像でいちばん右のシャクヤク「メアリージョーリガー」は、咲き進むにつれて花弁の色がどんどん淡くなり、本当に驚くほど花色が変化します。日に日に違う美しさを楽しめるのも、シャクヤクの魅力ですね。

●器について
シャクヤクの花はずっしり重たいので、長いままいける場合も、短くしていける場合も、器は安定感があるものを選びましょう。大輪の花なので、どんな器にも負けませんが、写真のような青磁のブルー系やグレーなど寒色系の器を選ぶと、華やかななかにも落ち着いた雰囲気に。シャクヤクのオリエンタルなムードが強調されます。

●コーディネイトについて
初夏に旅した台湾の茶芸館の佇まいを思い出し、中国茶を楽しむテーブルをイメージしました。ちょっとレトロなテイストのガラスのピッチャーとグラスを合わせて、ゆったりとした時間が流れるようなアジアンムードに。

シャクヤクに合わせるおすすめの花材は、同じく初夏が旬の植物たち。今回合わせたクレマチスは、蔓に動きがあって軽やかな印象になります。同じく蔓性の明るい黄緑色が美しいリキュウソウも素敵ですね。また、白い花をつけるリョウブや、ドウダンツツジなど、爽やかな新緑の枝もの(画像下)を添えると、いっそう涼しげな演出に!

シャクヤクの透明感やしっとりした質感には、同じ空気感や湿度をもつ花やグリーンを合わせましょう。今の季節をそのまま切り取ったような、みずみずしさを表現できます。

■3ステップで簡単アレンジ

①器にたっぷりの水を入れ、切り花鮮度保持剤を加えます。

②器の高さに合わせ、シャクヤクの茎を斜めにカットします。鮮度のよいシャクヤクは青々とした葉が美しいので、切り離した枝も、葉ものとして活用できます。また、クレマチスの茎は斜めにカットしたあとに、ハサミの背などで茎を叩き割ると、水の吸い上げがよくなります。

③シャクヤクは、器の縁を利用しながら手前に2輪、奥に1輪いけます。花顔が横並びにならないよう、やや高低差をつけていけるとアレンジに立体感が出ます。画像では見えづらいですが、シャクヤクの美しい葉は、手前の器の縁や背景に生かしましょう。最後に、クレマチスの蔓を長めに飛ばすようにあしらえばできあがり!

(補足)3輪めのシャクヤクは背後に長くあしらうより、やや短めにあしらったほうが、アレンジに奥行き感が出る、かつ”盛り花”のようにならず、自然でさりげない印象になります。

■シャクヤクを美しく咲かせるコツ

まず、花屋さんでのシャクヤク選びのポイントです。緑色のゴルフボールのような硬すぎるつぼみではなく、花色がわかるくらいつぼみがほころんだものを選びましょう。シャクヤクのつぼみはコツンとした衝撃に弱く、咲かなくなるといわれます。やさしく取り扱ってください。

①つぼみがまだ硬い時には、つぼみの表面に花の蜜のようなものがついています(画像下・花の表面のテラテラしたもの)。柔らかい布巾を濡らして蜜をやさしく拭きとるか、もしくは水で軽く洗い流します。

②シャクヤクは水が大好き! 花器に水をたっぷり入れます。切花鮮度保持剤を入れると、開花率が高まり、咲いてからの日もちがよくなります。

③葉が多いと水がさがりやすくなりますので、下葉を中心に余分な葉を取り除きます(花のまわりにある葉はデザイン的に残してもOK)。茎は斜めにカットし、水を吸い上げる表面積を広くしてあげましょう。

④水は濁ってくる前に、できるだけ頻繁に替えてあげましょう。また、水替えのタイミングで、茎も1〜2cm切り戻してあげるとベターです。

個体差や置いてある場所の環境にもよりますので、一概には言えないのですが、私の経験上では、画像くらいのつぼみの状態から3〜4日くらいで満開になります。

美しい葉をデザインに生かす場合は、切り離した茎ごとアレンジに入れてください。葉の部分だけではすぐに水落ちしてしまいますので、必ず茎つきで!

どうしても茎から離れてしまった葉は、こんな活用方法も! 青山のとあるインテリアショップで撮影したのですが、金魚鉢のようなガラスの器に水を張り、シャクヤクの葉を浮かべていました。それだけでも涼しげなインテリアになりますね。

トレンドのコーラル色のシャクヤクをベッドサイドに

小さなまん丸のつぼみから、信じられないほど大輪の花を咲かせ、そして最後はバサッと潔く散りゆくシャクヤクは、じつにドラマティックな花。束の間、ふんわりとたおやかに咲き開いている様子は、眺めているだけでやさしい気持ちになれますね。ベッドサイドや洗面台、ドレッサーなどに飾れば、シャクヤクから美しさのお裾分けをもらえそう(笑)。

数あるシャクヤクの中でも、特に乙女チックな雰囲気の「エッチドサーモン」、今年のトレンドカラー”リビングコーラル(=珊瑚色)”でもあることから、ますます人気が出そうですね。ほんのり甘いフレグランスも楽しみながら、美しさに磨きをかけて!

■材料(花材費合計=1000円以内)

●花材(画像左から)
*リキュウソウ/2本
*シャクヤク「エッチドサーモン」/1本
*アスター/1/3本 スプレー状を小分けにした花から2輪使用

今回は白い空間により軽やかな印象のアレンジにしたかったので、濃いグリーンのシャクヤクの葉はあえて使用していません(エッチドサーモンは元来葉も美しい品種です)。

●器について
ガラスの小さ目なピッチャーをチョイスしました。ぽってりとした安定感があるので花が大きなシャクヤクにもOKです。シャクヤク1輪、リキュウソウ1本でも十分です。

●コーディネイトについて
甘やかなエッチドサーモンの雰囲気を生かすように、周囲は白い雑貨に統一しました。少しずつお気に入りを集めた小物コーナーに、今だけの特別な花を大切に飾るイメージです。散りゆく花弁もまた美しいので、花弁を受け止めるプレートを敷きました。

つい先日、シャクヤク出荷量全国ナンバー1の長野県にある、シャクヤク生産地に伺ってきました。いまだ興奮さめやまず…! せっかくですので、拝見した長野県飯山市のJAながの「みゆきのシャクヤク」を紹介します。

長野駅から車でおよそ1時間。栗やワインで有名な小布施町を通り越し、湯沢温泉スキー場近くの美しい山あいに「みゆきのシャクヤク」の圃場は広がります。風光明媚な景色の中、満開のシャクヤクが一面に広がる畑を前に、わあーーっと歓声があがり一同テンションMAX!

そして、少し遠めに見る花咲くシャクヤクの株は、まるで満開のシュラブ・ローズ(バラの木)のようで、欧米で「Rose of May」と呼ばれる理由がようやくわかったような気がします。

「みゆきのシャクヤク」は今まさにトップシーズン。超繁忙期にも関わらず快くご案内くださったのは、シャクヤク研究会長・滝澤さん、シャクヤクはじめスズランも有名な梨元さん、JAながのの高橋さん。生産から流通まで、様々なお話を伺いました。

日本国内のシャクヤク産地の大半は雪国ですが、こちら飯山市も冬は雪が2メートル以上積もる豪雪地帯。そして、近くを流れる千曲川の恵みで土壌が良く、ボリュームいっぱいのシャクヤクが育つそうです。

シャクヤクに出合えるのは一年に今のこの季節だけ。それがどれほど待ち遠しく、どれほどシャクヤクにときめくかをお伝えすると、生産者のかたがたも「僕たちもこの瞬間に1年分のトキメキをもらうんですよ」とお話くださいました。深いシャクヤク愛の一端に触れることができて、とても幸せな気持ちになりました。

シャクヤクは、球根を定植してから株を育て、本格的に採花できるようになるまでに4~5年もの歳月がかかります。株を大切にしながらひとつの株で20年ほど生産していくそうです。そのため品種のサイクルもゆっくりで、新品種の開発も難しいそう。新しい品種を導入する際は、花のボリュームや生産性はもちろんですが、品種名も重要なポイントで「よい名前の品種はポテンシャルが高い品種であることが多い気がする!」とおっしゃいます。そして、一度惚れ込んだ品種は、長い時間をかけて我が子のように育てるのです。

シャクヤクのことなら滝澤さんに聞け!というご存在です。花は人気の「エッチドサーモン」、額がしっかりとしたカップ咲き、その分日持ちも良いシャクヤクです。

JAながのの選花場では、花の出荷基準を産地内で揃えるための目揃え会や、厳格な品質・規格のチェックを行っています。こうして「みゆきのシャクヤク」は、全国の市場や花店から絶大な信頼を寄せられ、今日もたくさんのお客様のもとで楽しまれています。

JAながのにて、生産者たちが集まり「目揃え会」を実施(5/28の様子、「みゆきのシャクヤク」様のFacebookより)。

厳格な規格テスト、「みゆきのシャクヤク」ブランドの信頼に繋がります。品質の良いシャクヤクはずっしり重たいのですよ!

シャクヤクは、西から北の産地へ順々にリレーしながら流通します。「みゆきのシャクヤク」はちょうど今がピークで折り返し地点、6月中下旬まで出荷が続きます。が、各地で真夏日が続き、高冷地のシャクヤクもハイペースで咲いてきているそうで、今年は例年よりもシャクヤクが豊富に出回る期間が短いかもしれません。

今週末は各地のシャクヤクが全国の花屋さんに並びますので、飛びきり美しいシャクヤクを探しに花屋さんへGO!ですよ。ときめいてうっとり、そんな至福のひとときをお約束します。 

ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

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Produced by WEEKEND FLOWER

カエルさんもシャクヤクにうっとり~

Profile小川典子

(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/フラワーシーンプロデューサー。会社勤めの傍ら23歳から本格的にフラワーアレンジを学び、(株)ワコール、キリンビール(株)の花部門、食品部門のマーケ...アーティスト詳細を見る