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カルミアの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます

記事 2019/03/20
カルミアの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます

コンペイトウのような形をした色濃いつぼみが、パラソルのように開花すると色が薄くなるカルミア。その愛らしい花形や色の変化に魅せられ、育ててみたいという人が多くいます。初心者でも決して難しくはありませんが、育てる際に水やりについてはちゃんと知っておきたいもの。カルミアの水やり方法や注意点、ちょっとしたコツなどについて、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

1.カルミアを育てる前に知っておきたいこと

カルミアは、北アメリカからキューバにかけて、およそ7種が分布する常緑樹です。日本で一般にカルミアと呼ばれるのは、ラティフォリア種(Kalmia latifolia)を指します。晩春に、コンペイトウに似た形の小さなつぼみが膨らみ、初夏から梅雨入りにかけて2㎝ほどの花が房状にびっしりと咲きます。

初めてカルミアを育てる場合は、苗木で始めるのが一般的で、鉢植えでも地植えでも栽培できます。植えつけは、3月上旬~4月上旬、9月下旬~11月上旬が適期です。

夏の暑さと乾燥には注意が必要ですが、成長のスピードがゆっくりで、放っておいても自然に樹形が整うため、初心者でも育てるのは決して難しくありません。

カルミアの基本データ
学名:Kalmia latifolia
科名:ツツジ科
属名:カルミア属
原産地:北アメリカ東部
和名:アメリカ石楠花(アメリカシャクナゲ)
英名:Kalmia
開花期:5月上旬~6月中旬
花色:赤、ピンク、白、茶
発芽適温:15℃前後
生育適温:15~25℃

カルミアの葉は、長さ7~10㎝で光沢のある濃い緑色で、通年観賞できます。その葉の形がシャクナゲやローレルに似ていることから、別名アメリカシャクナゲのほか、ハナガサシャクナゲ、アメリカンローレルとも呼ばれています。育て方は同じツツジ科のシャクナゲとほぼ同様で、シャクナゲやツツジを育てた経験があると、コツはつかみやすいでしょう。

ツツジ科の植物は、有毒物質をもつものがありますが、カルミアもそのひとつです。葉に毒素を含み、腹痛、嘔吐、下痢、神経麻痺を引き起こます。手で触れたり、ちぎったりする程度なら心配することはありませんが、誤食は危険です。花の蜜も同じような中毒症状が出るため、子どもやペットがいる家庭は十分に注意してください。特に小さな子どもは、「コンペイトウだ」と喜んで、つぼみを口にしてしまう可能性も。栽培時にはくれぐれも葉や花を口にしてはいけないと、よく説明しておきましょう。

2.水やりの方法とそのタイミング

カルミアは北アメリカ東部が原産地。冷涼でジメジメとした湿気とは無縁の環境で育ちました。そのため、過剰な湿気を嫌いますが、同時に根が細いため、乾燥も苦手です。カルミアに適した水やりとは、土の様子を観察し、表面が乾燥していたら、たっぷりと水を与えることです。

カルミアに限らず、水やりは本来、植物が水を欲しがっているときに行うもの。土が乾かないうちに水を与えると、土は絶えず湿った状態になります。すると、土の中に新しい空気がいつまでたっても入ってこなくなり、酸素不足で根が呼吸できず、根腐れを起こしてしまいます。水で湿った土から水分が抜けていく通り道に、新しい酸素が入ってくるのです。そのため、カルミアの健康を保つためには、土が乾燥する期間も必要なのです。水がたっぷりある状態と乾いている状態、そのメリハリが水やりには大切です。

水やりの時間帯は、日が高くならない午前中が原則です。ベストは朝。日が昇り、気温が上がってくると、植物は葉裏の気孔を開いて、呼吸を活発にします。このとき、体内の水分が水蒸気になって外に発散する(蒸散)ので、水分を補う必要があります。夕方以降はこの蒸散作用が減退するので、水分はあまり必要ありません。朝に与えた水が、夕方には乾くというのが理想的です。ただし、夏など乾燥しやすい時期には1日2回、朝夕に水やりが必要なこともあります。

水やりの際、花や葉に直接水がかかると、病気にかかる恐れがあります。基本的に、花や葉に水をかけないようにして、根を広げた先端から株元にかけて水を与えます。といっても、土中の根の先端がどこまで伸びているのかは見えないため、枝の先端を目安にするとよいでしょう。根の先端と枝の先端はほぼ同じようなところに位置すると考えられるからです。

道具はジョウロでOKです。根がまだ安定していない幼い苗は、細かな水がシャワー状に出てくる“ハス口”を使います。ある程度育って株元が混み合っているようなら、ハス口をはずして、葉や茎を避けながら土にだけまんべんなく水を注ぐようにします。同じ場所に勢いよくジャーッとすると、土がえぐれてしまうので、注意しながら行いましょう。

カルミアは鉢植え、地植えのどちらでも栽培できますが、それぞれ水やりの頻度は異なります。次の項からは、植えつけ別の水やりを紹介しましょう。

3.鉢で育てている場合の、カルミアの水やり

水やりの頻度

夏の高温期を除いて、表面の土が白っぽく乾いたら水やりのタイミング。春と秋は1日1回、夏は1日1~2回、冬は2~3日に1回が目安です。原則として日が高くならない午前中、できれば朝に行います。

夏など乾燥しやすい時期は朝に水やりをし、夕方の涼しい時間に葉水(霧吹きなどを使って、葉に直接水を吹きかけること)を行ってもよいでしょう。

水やりのコツ

鉢底から流れ出るくらい、たっぷりと水を与えます。乾いた土の表面が湿る程度のちょろちょろとした水やりでは、土中に張った根まで水が行き届きません。たっぷりの水で土の表面を覆うくらいでOKです。もし、鉢の縁から水が溢れるようなら、いったん水が引くまで待って、再び水を与えるとよいでしょう。そして、鉢受け皿に溜まった水はそのままにしておかず、必ず捨ててください。

カルミアに限らず、植物の根は呼吸しています。水をたっぷり与えることで、土の中にたまった古い水分や老廃物を流し出すと同時に、水に含まれている新鮮な空気を補うことができます。

カルミアの命の源である根に、新鮮な水と空気をしっかりとたくさん与えるつもりで、水やりを行ってください。

水やりの確認方法

水やりのタイミングを確認するには、土の状態を観察しましょう。土が白っぽく、硬そうに見える、指で触って乾いている、などです。土が湿っているようなら、水やりは不要。

また、鉢を持ち上げて重さで判断してもいいでしょう。たっぷり水をあげたときの鉢の重さを確認しておけば、乾燥したときに軽いと感じるはずです。もちろん、土だけではなくカルミア自体の様子を見ることも忘れずに。鉢植えは土自体の量が少ないため、栽培環境によっては意外と乾燥しやすいので油断は禁物です。そのためにも、水やり前後の土と、カルミアの状態の違いをよく観察し、把握しておきましょう。

4.地植えの場合の、カルミアの水やり

水やりの頻度

地植えの場合は、雨水が当たる場所であれば、基本的に水やりの必要はありません。鉢に比べて土の量が多く、地中に水分が蓄えられているからです。ただし、7~8月の真夏日が続く場合など、極端に乾燥する高温期には水切れを起こす心配があります。週に1回くらいを目安に、朝か午前中の早い時間に水をあげましょう。

水やりのコツ

土中にしっかりと水がしみ渡るように水をあげましょう。土中深く張っている根の先端まで水が届くように、“たっぷり”と与えます。

水やりの確認方法

極端に雨が降らない日や猛暑日が続いて、カルミアの茎に元気がなかったり、葉先がしおれたりしたら、土の状態を指で触ってチェック。表面だけでなく、その下のほうの土も乾いていたら、上記の方法で水やりをしましょう。

5.水やりは、季節によっても多少変わります

水やりの具合は、天候のほか、植物の生育状態や季節で多少変わります。そこで、この項では季節ごとの違いを見ていきましょう。

春(鉢植え、地植え)

新芽が伸び始める前の3~4月にカルミアの苗を植えつけた場合、植えつけ直後にたっぷりと水やりをします。その後は、土の表面が乾くまでは水やりを控え、新たな根が伸長するのを促します。生長が旺盛な時期なので、“土が乾いたら、たっぷり”と継続的な水やりを心がけましょう。9~11月に植えつけた場合も同様です。どちらもカルミアにとって、開花前の大事な時期なので、水切れにならないように気をつけましょう。

夏~秋(鉢植え)

開花を終えて新しい枝を伸ばそうとする時期です。土の状態を見ながら、継続的な水やりを行いましょう。土が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり水をやります。地植えに比べて土の量が少ない鉢植えは、乾燥しやすいため、真夏の高温期は毎日まめに土の状態をチェックして、水切れにならないよう注意を。

夏~秋(地植え)

鉢植えと同じく、新しい枝を伸ばす時期です。前述したように、連日猛暑が続いたり、何週間も雨が降らなかったりする場合は、アセビや土の様子を見て、週に1回を目安に根元にたっぷりと水をあげましょう。

秋~冬(鉢植え、地植え)

9月~11月上旬にカルミアの苗を植えつけた場合、植えつけ直後にたっぷりと水やりします。その後は、土の表面が乾くまでは水やりを控え、新たな根が伸長するのを促します。春に苗を植えた場合も同様です。水切れにならないように継続的な水やりを行いますが、気温が低い冬場は土が乾いて数日経ってからでも構いません。

6.カルミアの水やり、注意点が知りたい

鉢植えの場合の注意点

カルミアの水やりでもっとも注意したい点は、水切れと乾燥です。特に春から秋にかけての生長期には、水切れをさせないようにしましょう。生育が早く止まってしまい、出てくる花穂のつぼみが少なくなります。また、秋になって花穂が伸びる頃に乾燥させると、つぼみが落ちたり枯れたりする可能性があります。

地植えの場合の注意点

春、秋、冬は基本的に自然の雨水だけでも大丈夫、ということを忘れないようにしましょう。過保護は禁物です。水の与えすぎは株を弱らせたり、根を腐らせたりします。ただし、夏は例外です。猛暑日が続いたり、何週間も雨が降らなかったりした場合は、水切れや乾燥に陥らないよう、たっぷりと水をあげましょう。

栽培環境によって多少の違いはありますが、カルミアは過湿と乾燥が苦手ということを念頭において、水やりを行いましょう。花つきがよいだけに、ほったらかしているとたちまち水切れになりますが、それを恐れるあまりジャージャーと頻繁に水やりすると、過湿と根腐れの心配があります。

なにより大切なことは、日々、カルミアの状態や土の乾き具合をよく観察すること。水切れを招く“放任”と、根腐れを招く“過保護”に気をつけて、元気なカルミアを育てていきましょう。

構成と文・岸田直子

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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