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知っておきたいオリーブの肥料の施し方と注意点

記事 2018/12/07
知っておきたいオリーブの肥料の施し方と注意点

常緑高木で銀色の葉が美しいオリーブは、庭木としても人気のある果樹のひとつです。海外ではイタリア、国内では小豆島がオリーブの産地として知られています。生の果実が出回ることはあまりないので、自分で育てれば収穫・加工を楽しむことができます。ここではオリーブの肥料の基本を紹介します。監修:三輪正幸(千葉大学環境健康フィールド科学センター助教)

1.オリーブを育てる前に知っておきたいこと

オリーブは、初心者にも育てやすい果樹のひとつですが、栽培を始める前に、上手に育てるための基本情報を知っておきましょう。

オリーブの基本データ
学名:Olea europaea
科名:モクセイ科
属名:オリーブ属
原産地:地中海沿岸〜中東一帯
和名:オリーブ
英名:olive
開花期:5月中旬〜6月中旬
花色:白
植え付け時期:2月中旬〜3月(関東以西の温暖地)
収穫期:10〜11月
耐寒気温:−12℃

オリーブは地中海沿岸地域、中東一帯が原産といわれる常緑高木で、紀元前3世紀には栽培されていたといわれています。日本には江戸時代に伝えられました。温暖な気候を好みますが、比較的寒さに強く、−12℃までの寒さにも耐えるという報告もあります。関東以西の温暖地では庭に植えて栽培できます。高冷地や寒冷地では鉢植えにして、寒さの厳しい時期には室内に置きます。ただし、ある程度寒さに当てないと花・果実をつけないため、1月の平均気温が10℃以下になるような場所で管理しましょう。また、剪定しないで放任すると木が大きく育って8m以上になることもあるため、幼木の頃から剪定して高さ2.5m程度に仕立てるとよいでしょう。

オリーブの果実は生のままでは渋くて食べることに適していません。そのため、収穫した果実は塩漬けやピクルスなどで楽しみます。果実に含まれるオイルの割合(含油率)は5〜30%ほどなので、ボトル1本(500ml程度)のオリーブオイルを集めるためには、非常にたくさんの果実が必要になります。

2.オリーブを育てるときに肥料は必要なの?

養分は循環する

オリーブに限らず植物は、土のなかにある養分を根で吸収しています。自然の土のなかには数多くの小動物や微生物が生息し、落ち葉や枯れ枝などをさまざまな養分へと分解しています。それらの養分はその周囲に育つ植物の栄養となり、植物の果実や根などは動物に食べられ、その動物自体も他の動物の栄養となります。動物のフン、枯れた植物などはまた土のなかに戻ります。自然のなかでは多くの元素が植物や動物の養分となり循環しています。

栽培するために必要な肥料

前述のように、自然界であれば養分は循環していますが、人間が草花や野菜、樹木を栽培している環境では、それらの植物に吸収された養分(元素)は果実などの収穫や剪定枝・落ち葉の除去という形などによって土から持ち出されてしまうため、土の養分の量は徐々に減ってしまいます。その減った分の養分を補うものが肥料なのです。養分が不足すると植物の成長は阻害され、うまく育たなかったり病気や害虫の被害を受けやすくなったりします。オリーブも例外ではなく、丈夫に育ち、花を咲かせ、結実させるためには、肥料が必要となります。

植物に必要な「肥料の三大要素」

植物が成長するために必要な元素を必須元素といい現在では17種類が知られています。そのうちの窒素、リン酸、カリは植物のからだをつくり、成長するためにとくに重要な元素で、また多く必要とすることから「肥料の三大要素」といわれます。市販される肥料には三大要素がそれぞれどれくらい含まれているかが「N-P-K=8-8-8」などと表記されています。この数値は100g中に窒素などの成分が8g*ずつ含まれることを表します。

*重量比で窒素(N)が8%、リン酸(P)が8%、カリ(K)が8%

N:窒素
一般に「窒素」と呼ばれる元素です。枝や葉を茂らせる効果が非常に高く、一般には「葉肥」ともいわれています。確かに、窒素が欠乏すると、葉の色が淡黄緑色になり、育ちが悪くなりますが、果実や根の生育にも重要な役割を果たしています。窒素分を多く含む肥料に、油かす、魚粉などがあります。

P:リン酸
一般に「リン」あるいは「リン酸」と呼ばれます。不足すると葉が小さくなったり、暗褐色になったりします。昔は「実肥」とよばれて果樹や草花では盛んに施されていましたが、最近では大量に施しても植物の根が吸収しきれないことが明らかになり、窒素と同程度か、少なめに施されることが多いです。リン酸を多く含む肥料に、骨粉、米ぬかなどがあります。

K:カリ(カリウム)
正式名は「カリウム」です。光合成や酵素の働きを活性化し、果実の肥大にも関わっています「根肥え」と呼ばれていた時代もありましたが、果実や葉などほかの部位の生育にも不可欠です。カリを多く含む肥料に、草木灰などがあります。

3.種類を知ることが、適した肥料選びの近道

肥料は、有機質肥料と無機質肥料に大きく分けられます。有機質肥料は堆肥や魚かすなどの、植物や動物由来の肥料のことです。無機質肥料は無機質の原料に作られる肥料のことをいいます。ここでは、肥料の種類とその特徴を解説します。

有機質肥料

動物や植物を由来とする有機物を原料に作られる肥料を「有機質肥料」といいます。有機質肥料はさらに動物質肥料と植物質肥料に分けることができます。動物質肥料としては魚かすや骨粉などで、窒素やリン酸が主成分となります。植物質肥料としては植物の種子(ダイズやナタネなど)から油を搾り取った残りのかすなどがあります。一般に有機質肥料はゆっくりと効果が現れます。

無機質肥料

一方、無機質の原料から作られる肥料を無機質肥料といいます。一般に無機化合物ですが、炭素(C)が含まれる有機化合物の尿素についても無機質肥料に含まれます。無機質肥料は、窒素・リン酸・カリのうち、含有する主成分が1種類である単肥と、2種類以上含む複合肥料に分けられます。化学肥料は、一般に効果が現れるのが早いというイメージがありますが、最近では表面を樹脂などでコーティングして長期間効果が持続する肥料もあります。

固形肥料と液体肥料(液肥)

肥料は、その形状によって分類することもできます。ペレット状や粒状、粉末の形状をした肥料を固形肥料といいます。固形肥料は施しやすいように粒状などに形が整えられた肥料です。液体肥料は液体状の肥料で、種類によってそのまま、あるいは希釈して施します。液肥は効果がすぐに現れますが、持続性はあまりありません。

緩効性肥料と速効性肥料

ゆっくりと効果が現れる肥料を「緩効性肥料」、すぐに効果が現れる肥料を「速効性肥料」といいます。緩効性肥料は休眠期に与える肥料で、一年で必要な肥料を施す場合などに使われます。堆肥などの有機質肥料には緩効性肥料が多く存在します。一方、無機質肥料でもコーティング肥料などのように緩効性の肥料があります。速効性肥料は開花や結実後、生育中に不足した場合などで、速やかに養分を与えたい際に有効的な肥料です。液肥や粒の小さな化成肥料、発酵させた有機質肥料などを施します。

4.肥料を与える時期とタイミング

オリーブの肥料は一年に必要な量の肥料を与える元肥と生育の途中で与える追肥、収穫完了後に与えるお礼肥の3つに分けることができます。

萌芽前に施す「元肥」

肥料は、与える時期・タイミングによって、大きく元肥と追肥に分けることができます。元肥は野菜では苗や苗木を植え付けるときに事前に施しておく肥料を指しますが、果樹では植え付け時に加えて、萌芽前に毎年施す肥料についても「元肥」といいます。寒い時期に施すので「寒肥」や「春肥」とも呼ばれます。ゆっくりと効果を発揮する必要があり、土のなかの物理性(ふかふか度)を改善する目的もあるので、一般的には有機質肥料をメインにした肥料を施します。

不足した肥料を補う「追肥」「お礼肥」

元肥を施しただけでは植物の成長に伴って肥料分が不足してしまいます。その不足した肥料分を補うために追加する肥料を追肥といいます。すぐに効果が現れて欲しいため、基本的には速効性の肥料が好ましいです。収穫後に、結実によって消耗した樹体を回復させるために施すのが「お礼肥」で、こちらも速効性の肥料が好まれます。

オリーブに肥料を与えるタイミング

庭植え、プランター栽培ともに、3月に元肥、6月に追肥、11月の収穫完了後にお礼肥を施します。元肥には堆肥など有機質肥料がおすすめです。追肥やお礼肥には速効性の化成肥料がよいでしょう。

5.オリーブへの肥料の与え方が知りたい

根が広がる範囲全体に施す

肥料は、根が広がっている範囲に施します。根の広がる範囲は、一般的に葉の広がる範囲を目安とすることができます。庭植えの場合は葉が広がる範囲の土の部分全体に肥料を施します。鉢植えの場合は、鉢土の全体に均一に施します。以前は、根の広がる先端部の土にのみ肥料を施すことを推奨されたこともありましたが、昨今では根の広がる全体に均一に施すことが一般的です。

プランターでの施肥量の目安

プランターでは8号鉢(直径24cm)の場合、元肥(3月)に油かす30g、追肥(6月)に化成肥料10g、お礼肥(11月)に化成肥料8gが目安です。庭植えの場合はそれほど神経質になる必要はありませんが、プランター栽培の場合は、水やりによって土のなかの肥料分が流れ出やすいため、肥料切れに注意しましょう。

庭植えでの施肥量の目安

3月に元肥として油かすなど有機質肥料主体の肥料や、緩効性の専用肥料を施します。6月(追肥)と11月(収穫後の礼肥)に追肥として速効性の化成肥料などを施します。庭植えでは樹冠の直径1m未満の場合、元肥として油かす150g、追肥は化成肥料45g、お礼肥は化成肥料30gが目安です。

6.肥料を与えすぎるとどうなるの?

肥料やけに注意

肥料は施せば施すだけ効果があるというわけではありません。多量の肥料を一時に施すと、土のなかの肥料濃度が高くなり、根の機能に支障をきたして、水を吸い上げることもできなくなって、ひどい場合には枯れてしまいます。こういった現象を肥やけ、あるいは肥料やけといいます。肥料は適切な時期に適切な量を施すことが重要です。

また肥やけを起こすほどでなくても、必要以上に肥料を施すと株が弱り、病害虫の被害も多くなる場合があります。とくに鉢植えで育てる場合は土の量が限られているため肥料やけを起こしやすくなるので注意が必要です。

構成と文・新井大介

監修三輪正幸


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