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カモミールを元気に育てるには、適した土作りと植え替えが必要です

記事 2019/02/27
カモミールを元気に育てるには、適した土作りと植え替えが必要です

カモミールはハーブの中でもよく知られる花のひとつ。ハーブティーとして飲むと、少しりんごに似た甘くやさしい味がして、不安、ストレス、炎症、鎮静、胃弱などに効果があります。丈夫で育てやすい植物ですが、より元気に育てるための土について、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

1. カモミールを育てる前に知っておきたいこと

カモミールと呼ばれる植物はいくつかありますが、その中でも代表的なものがジャーマン・カモミールとローマン・カモミールです。見た目も育て方も似ていますが、ジャーマン・カモミールが一年草なのに対し、ローマン・カモミールは多年草です。日本では一般に、ジャーマン・カモミールをカモミールと呼んでいることが多いようです。

ジャーマン・カモミール
上に伸びる直立性の一年草で、よく枝分かれしながら60㎝ほどの高さまで育ちます。葉には香りがなく、花の部分をハーブティーとして用いるのが一般的です。春と秋に種をまくことができ、3〜6月に開花、収穫をすることができます。黄色の中心部が盛り上がってきた時が収穫期です。白い花弁が反り返って下向きになる前に収穫するとよいでしょう。開花期が長く初心者でも育てやすい花です。

ローマン・カモミール
ジャーマン・カモミールよりもやや大きめの花で、葉や茎にも香りがあります。枝分かれはあまりせず、茎の先に花をひとつだけつけるのも、ジャーマン・カモミールと見分ける特徴です。横に広がりながら成長し、花が開いてもジャーマン・カモミールほどは中心部が盛り上がりません。じょうぶで育てやすく、一緒に植え付けた植物を健康にするコンパニオンプランツとしても知られています。お茶にすると、ジャーマン・カモミールよりも苦味があります。

カモミールの基本データ
学名:Matricaria recutita(ジャーマン・カモミール)/Chamaemelum nobile(ローマン・カモミール)
科名:キク科
属名:シカギク属(ジャーマン・カモミール)/ローマカミツレ属(ローマン・カモミール)
原産地:ヨーロッパ、中央アジア、中国東部モンゴル、朝鮮半島(ジャーマン・カモミール)西ヨーロッパ、北アフリカ(ローマン・カモミール)
和名: カミツレ
英名:German chamomile(ジャーマン・カモミール)/Roman chamomile(ローマン・カモミール)
開花期:3〜6月(ジャーマン・カモミール)/5〜6月(ローマン・カモミール)
花色:白
発芽適温:15〜20℃
花もち:基本的には1日で、2〜3日もつものもある。

カモミールは風通しが良く乾き気味の環境を好み、鉢植えでも地植えでも育てることができます。地植えにすると自然に種が落ちて、そこから生える「こぼれ種」で増えていくので、群れをなして美しい白い花を咲かせるのを見ることもできます。

苗や種は、ホームセンター、園芸店、街のフラワーショップなどで市販されています。キッチンハーブとして人気があり丈夫で育てやすいため、ハーブの育成キットとして雑貨店などで購入できることもよくあります。苗はすぐに楽しめるメリットがありますが、種から育てるのもさほど難しくありませんので挑戦してみるのも良いでしょう。

ポプリや入浴剤などで香りを楽しむほか、ハーブティーとして飲用する人も多いですが、妊娠中の人やキク科の植物にアレルギーのある人は使用や飲用を避けましょう。

2. 種類を知ることが、適した土作りへの近道

土は多くの植物が育つために欠かせないもの。人間でいえば屋根のある家のような存在です。ですから、植物を元気に育てるには、植物がストレスなく生育できる土の環境を整えることが大切です。ひとくちに土と言っても、その種類はさまざま。カモミールに適した土作りをするために、まずは一般的な土の種類を知っておきましょう。

土には、赤玉土や培養土といった「単体用土」と、単体用土を数種類ブレンドした「培養土」があります。市販の培養土には「〇〇専用土」などと名付けられたものがあり、園芸初心者には便利です。カモミールの場合はハーブの専用土を使うと良いでしょう。

一方、単体用土には、「基本用土」と「改良用土」があります。単体用土は1種類で使うよりも、数種類の土をブレンドして使用するのが基本です。基本用土は鉢土のベースとなるものでブレンドの配合割合が大きい土です。改良用土は、通気性、排水性、保水性などを補う目的で、基本用土に加えて使用するのが一般的です。有機性の改良用土は庭などの地植えに向いており、無機性のものは室内で楽しむ鉢植えなどに向いています

単体用土は、市販の培養土と違って、植物やその植物を育てる環境にあわせて土作りできるメリットがあります。よく使われる単体用土には次のようなものがあります。

基本用土

赤玉土
さまざまな植物でもっとも幅広く使われる用土です。関東ローム層の赤土を乾燥させて粒状にしたもので、大粒、中粒、小粒などにわけて市販されています。通気性、排水性、保水性、保肥性に優れた弱酸性の用土です。

鹿沼土
火山灰が風化し粒状になったもので、やや黄色っぽい軽石状の用土です。赤玉土よりも通気性、排気性に優れた酸性の用土で、サツキ、ツツジ、シャクナゲなど酸性を好む植物に適しています。

改良用土

腐葉土
広葉樹の落ち葉を腐らせた有機性の改良用土です。基本用土に混ぜると、土がふっくらと柔らかくなり、通気性、排水性、保水性、保肥性が高まります。地植えの植物では、暑さや寒さ対策のひとつとして、土の上を覆うマルチング材として使われることもあります。

ピートモス
腐植化した水苔などを洗浄してから乾燥させ、細かくくだいた有機性の改良用土です。酸性の用土のため、使用の際は、石炭やもみ殻くん炭などを混ぜて酸度調整をする必要があります。酸度調整されたものは、保水性や保肥性を高めるための改良用土として使われます。

もみ殻くん炭
もみ殻を炭化させたもので、通気性、保水性に優れた有機性の改良用土です。アルカリ性の用土のため、酸性土壌を中和する働きがあります。その際はあまり大量には加えずに、全体の10%程度の割合で使用するのが目安です。

バーミキュライト
蛭石(ひるいし)を高温で加熱し、何倍にも膨張させた無機性の人工用土です。通気性、排水性、保水性、保肥性に優れた中性の用土です。高温焼成のため無菌で、挿し木、種まき用の土としても使われます。

パーライト
黒曜石や真珠岩を高温で加熱し、発泡させた無機性の人工用土です。通気性、排水性に優れ非常に軽いのが特徴です。保水性や保肥性は低いです。

軽石
火山から吹き出た多孔性の砂礫で、無機性の用土です。通気性、排水性に優れ、基本用土に混ぜるほか、鉢の底に敷く鉢底石として使われることもあります。

3. よい土は、水はけ、水もちに優れています

植物は根から栄養や水分を吸収しているため、根の働きが弱ると少しずつ元気がなくなり、やがて枯れていきます。逆をいえば、根がしっかりしていれば植物は丈夫に生育するということです。その根の住処が土です。植物にとって土はとても重要なものなのです。

植物が根からしっかり養分を得るには、通気性と排水性の良い土が必要です。通気性にすぐれ水はけのよい土を使っていれば、水やりをしたときに古い水がきちんと排出され、土の中はつねに新鮮な水と酸素がある状態を保てます。また、適度に酸素が含まれた土は、土に保温効果や断熱効果が生まれるため、冬の寒さや夏の暑さなど急激な気温の変化から根を守ってくれる働きもあります。

通気性や排水性がない鉢の中は、水分過多でじめじめした状態になりがちです。そうなると土の中に酸素が取り込まれず根が十分に育たないため、根腐れの原因となります。一方で、乾きやすい土といっても、水やりをして数時間で完全に乾いてしまうような土ではいけません。植物を育てるには適度な保水性も必要です。

このように通気性、排水性、保水性のバランスのよい土は、「団粒構造」になっています。団粒構造とは、細かいさまざまな土の粒子がくっつきあい小さなだんごのような固まり(団粒)を形成している状態です。団粒と団粒の間にすきまができ、空気や水がそこを通り道にします。すきまがあれば根も伸びやすくなるので、よく育ちます。

団粒構造の土は、粒子どうしがくっつきあう性質があります。そのため、通気性、排水性がありながら、植物を育てるのに必要な有機物や肥料をたくわえる働きは保たれるのです。

すきまの多い土を団粒構造と言うのに対して、すきまのない詰まった土を「単粒構造」と言います。水はけの悪い粘土質の土や、水もちしない砂土が単粒構造です。一般的な植物を育てるのには向きません。

4. 元気に育てるための、カモミールの土作り

カモミールも一般の植物と同じように、水はけの良い土が必要です。

土には培養土と単体用土があることを説明しましたが、鉢植えのカモミールなら、市販されているハーブ用の培養土で構いません。自分でブレンドするなら、小玉の赤玉土に腐葉土を混ぜて、水はけをよくすると良いでしょう。赤玉土6:腐葉土3:パーライト1程度の割合がおすすめです。

カモミールは酸性の土が苦手なため、地植えにする場合は土の酸性度を弱めるようにします。庭の土を少し掘り返し、苦土石灰(くどせっかい)などを混ぜ合わせることで、土が弱酸性になります。一緒に腐葉土も混ぜておくと、水はけが良くなりますのでおすすめです。土をよくすき込んでやわらかくしておきましょう。

5. カモミールの植え替えの時期と頻度

種を鉢で育てる場合や、市販の苗から育て始めるときは、植え替え作業(定植)が必要になります。

カモミールには、ローマン・カモミールとジャーマン・カモミールがあり、植え替えが必要なのはローマン・カモミールです。種まきをした翌年以降に、6か月〜1年に1回植え替えをしましょう。

6. 土のほか、植えつけ、植え替え時に準備したいもの

カモミールは、種まきからスタートさせる人が多い植物のひとつですが、地面や鉢にそのまま種をまくよりも、苗の状態になるまで苗床で育てるほうが生育もよくなります。自分で育てた苗や市販の苗は、大きな鉢や庭に植えつけが必要です。また、多年草のローマン・カモミールは1年に1〜2度植え替えをして、株をリフレッシュさせます。

植えつけや植え替えのときに必要なものを知っておきましょう。

準備するもの
・適した土(ハーブ用の培養土、または前述のブレンド土)
・植え替えするカモミールの苗や株
・鉢やプランター ※地植えの場合
・鉢底ネット ※地植えの場合
・ラベル
・肥料(肥料の含まれない土を使う場合に必要)
・苦土石灰 ※地植えの場合
・土入れ、またはスコップ
・割り箸など細い棒
・ジョウロ
・園芸用のハサミ

7. カモミールの植え付け、植え替え方法が知りたい

苗の植え付けと、ある程度生育した株の植え替え方法をご紹介します。

苗の植え付け

鉢植えの場合
鉢はビニールポットよりもひと回り大きな鉢を用意します。ひとつのプランターに複数の苗を植え付ける時は、最低でも20㎝ほどの間隔を開けて苗を植えていきます。

① 鉢穴をふさぐように鉢底ネットを入れます。
② 鉢に水はけのよい新しい土(ハーブの培養土など)を鉢の3分の1ほど入れます。
③ ビニールポットから抜いた苗は土を崩さずに、新しい土を入れた植え付け用の鉢に置きます。
④ 鉢に土を加え、土を軽く手で押さえながら、鉢の上部2〜3㎝のところまで土を入れます。
⑤ 種名と植付け日を記載したラベルを挿し、鉢底から水が流れ出すまでたっぷり水をやります。

地植えの場合
地植えの場合は、庭の土をよく耕して、苦土石灰と腐葉土を混ぜ込み、水はけがよくなるようにしておきます。複数の苗を植え付ける時は、20〜30㎝ほどの間隔を開けます。

① 庭の土を直径、深さとも30㎝ほど掘り返し、苦土石灰と腐葉土を混ぜてよく耕します。
② 元肥として緩効性の化成肥料を土に混ぜます。
③ 1平方メートルあたり、50〜100gの苦土石灰を混ぜます。
④ 土を2週間ほど寝かせます。
⑤ 苗を置き、周囲の土の高さよりも高くなるように植え付けます。
⑥ 種名と植付け日を記載したラベルを挿し、水をやります。

植え付けが周囲の土よりも低くなっていると、水が溜まりやすくなり過湿状態になってしまうことがあります。土を盛って少し高めに植え付けましょう。元肥に有機性肥料を使う場合は、植え付けの2~3週間前に土に混ぜておくと、植え付けた時にちょうどよく肥料分を吸収することができます。

株分け
植え替えの時には、同時に株分けをするのがおすすめです。適期は植え替え同様、3月中旬〜4月と9月中下旬〜10月です。土が乾いている方が作業しやすいです。株分けを伴う植え替えは次のような手順で行いましょう。

① 鉢からカモミールの株を抜き、土を半分ほど落とします。
② 手を使って、根っこから株を2〜3に分けます。手で分けにくいときは、ハサミでカットします。
③ 植え付ける鉢の鉢穴をふさぐように鉢底ネットを入れます。
④ 鉢に水はけのよい新しい土(ハーブの培養土など)を鉢の4分の1ほど入れます。
⑤ 土を入れた鉢に株分けしたカモミールを置きます。
⑥ 鉢に土を加え、鉢と根の隙間にも土が入るように棒などでつついて土を入れ込みます。この時、つついた棒で根を傷めないように注意しましょう。
⑦ 鉢の上部約2㎝のところまで土を入れ、鉢底から水が流れ出すまでたっぷり水をやります。残りの株も同じように植え付けます。

8. 植え付け、植え替えをするときの注意点はこちらです

カモミールは成長した時に風通しが悪いと、蒸れて株を弱めてしまうので、植え付けの際には苗の間隔を開けるようにします。最低でも20㎝は開けましょう。

また、カモミールの花をたくさん咲かせるには、日当たりの良い場所に置くようにします。ただしカモミールには耐暑性がないため、夏の暑さには注意が必要です。鉢植えなら涼しい場所に移動できますが、地植えの場合は簡単に移動ができないので、夏に直射日光が当たる場所には植えないようにしましょう。夏は明るい日陰に置くのがベストです。

あまり肥料を必要としないカモミールは、土の環境が良ければどんどん花をつけてくれます。適切な土でたくさんの花を咲かせましょう。

構成と文・ブライズヘッド

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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