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【プランター栽培】ベランダ菜園で! 初心者でも失敗しないイチゴの育て方

【プランター栽培】ベランダ菜園で! 初心者でも失敗しないイチゴの育て方

甘くて果汁たっぷりのイチゴ。主にフルーツとして食べられていますが、じつはイチゴは野菜の仲間です。農林水産省の分類では、食用にする植物の中で、木本性のもの(木になるもの)を「果物」、草本性のもの(木以外のもの)を「野菜」としているため、草本性のイチゴは野菜の一種になるのです。野菜と果物の中間の位置付けであるため、「果実的野菜」と呼ばれることもあります。 イチゴは丈夫で育てやすく、一度植えると数年にわたって収穫できることから、家庭菜園でも人気の野菜の一つです。市販のイチゴのような大きな実をつけるには、ちょっとしたテクニックが要りますが、真っ赤に完熟した甘い実を味わえるのは、自分で育ててこその楽しみ。もちろん、プランターでも気軽に育てられるので、ぜひ挑戦してみてください。監修:深町貴子(園芸家)

1.イチゴの基本情報

イチゴの歴史は古く、古代ギリシャ時代には、すでに野生種のイチゴが食用にされていたと言われます。現在私たちが食べているイチゴは、19世紀初頭、ヨーロッパの園芸家がアメリカ大陸原産の野生種同士をかけ合わせ、改良した品種が元になっています。日本に伝えられたのは明治期の初めで、オランダ船によってもたらされたことから「オランダイチゴ」と呼ばれるようになりました。現在は、各県の農業試験場や種苗メーカーなどによって改良が進められ、より大きく、味の良い品種が毎年のように登場しています。

市販のイチゴは12月ごろから出回り始めますが、これはハウスで加温して育てているためで、イチゴの本来の旬は春から初夏にかけて。秋に苗を植え付け、寒い冬を越すことで花を咲かせ、実をつけます。冬の寒さにしっかり当てることが、イチゴを育てるための大切な条件です。

イチゴの基本データ
学名:Fragaria×ananassa DUCHESNE
科名:バラ科
属名:フラガリア属(イチゴ属)
和名:イチゴ(苺)、オランダイチゴ(和蘭苺)
植え付け時期:(一季なりイチゴ)10〜11月/(四季なりイチゴ)3〜4月、10〜11月
収穫時期:(一季なりイチゴ)4〜6月、(四季なりイチゴ)4〜11月
生育適温:18〜25℃(最低温度5℃)

2.イチゴの栄養素

イチゴには、ビタミンCが多く含まれていることがよく知られています。品種などによっても違いますが、100g当たりの平均的なビタミンC含有量は約62mgで、ミカンよりもたくさん含まれています。

そのほかの栄養素としては、イチゴの赤い色素の元であるポリフェノール、食物繊維、葉酸、各種アミノ酸も豊富です。皮をむかずに丸ごと食べられるイチゴは、とても効率よく栄養素を摂取できる食材です。

3.イチゴの種類と選び方

現在、日本で栽培されているイチゴは、250品種ほどもあると言われ、毎年のように新しい品種が登場しています。家庭菜園用として苗が出回るのは、その中の一部だけですが、それでもバラエティ豊かな品種がたくさんそろっています。食べてみたい品種を選んで育てられるのが、家庭菜園の醍醐味ですから、ぜひ好みのイチゴをじっくり探してみてください。

イチゴには、秋に苗を植え付けて翌年の初夏に収穫する「一季なりイチゴ」と、春から秋にかけて長く収穫できる「四季なりイチゴ」の2種類があります。

12月ごろから店頭に並ぶ一般的なイチゴは一季なりで、冬の寒さに当たることで花を咲かせ、実をつけます。対して、四季なりイチゴは、温度や日照などの条件にあまり左右されずに、花を咲かせ実をつけるのが特徴です。以前は、一季なりに比べると味や大きさの面で劣ると言われていましたが、最近では、大粒で甘い品種も多く登場しています。

一季なりイチゴのおすすめ品種

とちおとめ
栃木県生まれのロングセラー品種。1粒平均15gと小さめですが、果肉がしっかりしていて果汁もたっぷり。

紅ほっぺ
鮮やかな紅色で、果肉も赤く色づくのが特徴です。甘みと適度な酸味が調和した絶妙なおいしさ。

おいCベリー
名前の通りビタミンCの含有量が高く、7粒で1日に必要な量が摂取できるとされています。

四季なりイチゴのおすすめ品種

ドルチェベリー
甘みとボリューム感たっぷりのイチゴ。4〜7月、9〜11月と長期間収穫ができます。

天使のイチゴ
ここ数年、人気の白イチゴ。5〜10月が収穫時期で、白い実がほんのりピンクに色づいたら食べごろです。

ローズベリー・レッド
バラのような真っ赤な花が咲き、観賞用としても楽しめる品種。春から秋にかけて収穫できます。

4.プランター栽培に必要なもの

イチゴの苗
一季なりイチゴは10〜11月、四季なりイチゴは3〜4月、10〜11月が植え付け適期。時期が近づくと苗が出回り始めるので、目当ての品種を手に入れましょう。ホームセンターや園芸店、インターネット通販などで入手できます。

プランター
イチゴの栽培には、深さが15〜20cmのプランターが適しています。横長や丸型、ハンギングタイプや寄せ植えも楽しめるストロベリーポットなど、さまざまなものがあるので、置き場所や好みに合わせて選びましょう。

鉢底ネット
プランターの底穴から土が流れ出ないように敷きます。底がメッシュタイプになっているプランターの場合は不要です。

鉢底石
土の水はけをよくするための軽石で、培養土の下に敷き詰めるように入れます。

培養土
赤玉土をベースに、腐葉土や植物の成長に必要な肥料などがあらかじめブレンドされた土。「野菜用」と書かれたものなら、イチゴだけでなく、ほかの野菜にも幅広く使えます。「元肥入り」「酸度調整済み」と明記されたものを選びましょう。

移植ゴテ
プランターに土を入れたり、苗を植え付けたりするときに使う、小型のスコップ。グリップ部分が握りやすい太さのものを選びましょう。

ジョウロ
植え付け後や普段の水やり、液体肥料の散布などに使います。水差しタイプではなく、シャワーのようなハス口がついたタイプが、プランターの水やりに適しています。

作業用シート
ベランダやテラスで種まき・植え付けをする際、排水溝に土を流すと、詰まらせてしまうので注意しましょう。大きめのビニールシートなどを敷いて、その上で作業をすると、土が周りにこぼれるのを防ぐことができます。

肥料
培養土にはあらかじめ肥料が配合されていますが、植物が肥料分を吸収したり、水やりで流れ出たりすることによって、次第に効き目が薄れてきます。大きくて甘いイチゴを育てるために、追肥用の肥料も用意しておきましょう。プランター栽培には、粒状の固形肥料、または液体肥料が使いやすくておすすめです。「野菜用」と書かれたものは、植物の成長に必要なチッ素、リン酸、カリの3要素や、ミネラルなどの微量要素がバランスよく配合されていて、イチゴをはじめ、さまざまな野菜に使用できます。

5.イチゴの土作り

プランター栽培に使用する土は、市販の野菜用培養土を使うのが最も手軽です。

自分でブレンドする場合は、【赤玉土(小粒)6〜7:腐葉土3〜4】の割合で混ぜたものをベースにし、プランターを置く環境に合わせ、必要に応じて改良資材を加えます。日当たりが良く、土が乾きやすい場合は、水分や肥料分を蓄える性質のあるバーミキュライト、水はけが悪い場合は、排水性や通気性を高めるためのパーライトなどを加えましょう

また、これらの土には肥料分が含まれていないので、元肥となる肥料も必要です。元肥に適しているのは、効き目が緩やかで長く持続する緩効性の肥料です。

6.苗の植え付け時期と方法

イチゴの植え付け時期は、10〜11月。四季なりイチゴは春にも植え付けができます。甘い実を収穫する春を楽しみに、さっそくスタートしましょう。植え付けは次の手順で行います。

① プランターの準備
プランターの底穴の上に鉢底ネットを置き、底面が見えなくなる程度に鉢底石を敷き詰めます。プランターの縁から2〜3cm下まで培養土を入れ、表面をならします。

② 配置を決める
植える前に一度苗を置いてみて、配置を決めましょう。2株以上植える場合は、苗どうしの間隔を15〜20cmあけます。また、イチゴの苗には、ランナーと呼ばれる茎を切り離した跡があります。ランナーが出ている側の反対に花や実がつくので、向きをそろえて植えるようにしましょう。

③ 植え付ける
移植ゴテで苗のポットと同じ大きさの植え穴を掘ります。ポットをはずして、根鉢を崩さないように注意しながら苗を穴に入れ、手で周りの土を寄せて押さえます。このとき、株の中心にある、新芽が集まった部分を埋めてしまわないように気をつけましょう。

④ 水やり
ジョウロでたっぷりと水やりして、植え付けは完了です。

7.植え付け後の作業

植え付け後は、日当たりの良い場所にプランターを置きます。寒さに当たることで花や実をつけるので、真冬も屋外で育てましょう。冬の間はほとんど変化がありませんが、イチゴは春の成長に向けて準備をしています。普段の水やりを忘れないようにしてください。開花前の2月ごろから、収穫に向けての作業がスタートします。

① 水やり
水やりの頻度は、季節や環境によって変わります。土の状態をチェックして、乾いていたらプランターの底から流れ出るまで、たっぷりと水やりをします。

② 追肥
イチゴが成長を始める2月中旬ごろに、固形の緩効性肥料、または液体肥料を追肥します。最初の花が咲いたら同様に2回目の追肥を行い、その後は収穫が終わる時期まで追肥を続けましょう。追肥の量や頻度は製品によって異なるので、パッケージに記載されている通りに与えます。

③ 人工授粉
イチゴは、花の中心にある雌しべに雄しべの花粉がつき、受粉することで、実が大きくなります。開花したら人工授粉を行うのが、大きくておいしいイチゴを収穫するための大切なポイント。花粉のたくさん出る朝のうちに、毛のやわらかい筆などで花の中心をそっとなでて、花粉を雌しべにまんべんなくつけます。

8.収穫の時期と方法

開花から収穫までは、30〜50日ほどかかります。完熟した甘い実を味わえるのは、育ててこその楽しみ。へたのすぐ下まで赤く色づいたものから、摘み取って収穫しましょう。

イチゴの保存方法と料理

完熟したイチゴは、摘みたてをすぐに食べるのが一番。日持ちがしないので、食べきれないときはラップをかけて冷蔵庫に入れ、1〜2日で食べ切るようにしましょう。

余ったイチゴは、ジャムやシロップにするのがおすすめです。酸味の強いイチゴも、おいしく味わうことができます。

9.注意したい病害虫と予防方法

野菜の病気や害虫は、発生しないようにあらかじめ予防することが肝心。プランターの置き場所や普段の管理作業など、ちょっとした工夫で被害を防ぐことができます。もし発生してしまった時も、早めに対処すれば被害を最小限に抑えられます。

アブラムシ
草花や樹木など、ほとんどあらゆる植物につく害虫で、やわらかい新芽などに集まって植物の汁を吸い、病気を媒介します。新芽の内側や葉の裏側などに隠れていることが多いので、ときどきチェックしましょう。見つけたら粘着テープでくっつけて取るか、霧吹きで勢いよく水をかけて払い落とします。

ハダニ
さまざまな植物につくダニの一種で、体の大きさが0.5mmほどと小さく、肉眼では見つけにくい害虫です。葉の裏側について植物の汁を吸い、吸汁された葉は表面に白い斑点が現れます。放置するとふえるので、葉の裏側をチェックして、見つけたら粘着テープでくっつけて取るか、霧吹きで勢いよく水をかけて払い落とします。気温が高く乾燥する時期に発生しやすく、軒下やベランダなどの雨の当たらない場所で栽培する場合も、注意が必要です。

ナメクジ
雑食性で、植物の葉や茎、花、果実など、あらゆるものを食害します。じめじめと湿った環境を好み、日中は落ち葉の下やプランターの裏側などに隠れて、夜や雨の日に活動します。ナメクジが這った跡を見つけたら、周囲を探して割り箸などで取り除きましょう。寄生虫を持っている場合があるので、駆除するときは素手で触らないようにしてください。プランターの周りをすっきり片付けて隠れ場所をなくし、風通しをよくすると、ナメクジが集まりにくくなります。

うどんこ病
カビによって起こる病気で、多くの野菜に発生します。最初は葉の表面にうどんこ(小麦粉)を振り撒いたような白い斑点ができ、進行すると葉が黄色く変色して枯れてしまいます。葉だけでなく、茎や果実にも症状が広がるので、症状の出た葉を見つけたら早めに取り除きましょう。カビの胞子が飛ぶので、取り除いた葉も放置せずに処分してください。予防策としては、葉が密集しないように、植え付けのときにきちんと間隔をあけること(イチゴの場合は20cm程度)、また、肥料が多すぎると発生しやすいので、与えすぎに注意しましょう。

灰色かび病
湿気の多い環境や、水やりによる泥の跳ね返りなどで出やすい病気で、初期は葉や花びら、果実が、水がしみたように変色します。進行すると灰色がかったカビが発生し、広がるので、見つけたらすぐに取り除きましょう。予防のためには、植え付け時に密植しないように注意し、風通しよく育てること。また、水やりの時は上からかけず、株元の土にそっと与えることが大切です。熟した実をとらずに放置するのも、この病気の原因になるので、こまめに収穫することも予防につながります。

構成と文・磯野亜希子

監修深町貴子(ふかまち・たかこ)


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