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ヒヤシンスに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

ヒヤシンスに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

鮮やかな花色に、豊かな香り。ベルの花形がかわいいヒヤシンスは、その華やかな見た目で、私たちを楽しませてくれます。ヒヤシンスは、チューリップやスイセンと同じ、ポピュラーな球根植物。春を迎えるとさまざまな場所で目にするのはもちろん、小学校の授業の一環で水栽培されることも多いようです。しかし、肥料の与え方など、やや専門的な知識となるとちょっと…というかたが多いかもしれません。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

1.ヒヤシンスを育てる前に知っておきたいこと

ヒヤシンスは、秋〜冬の間に植えつけると、次の春の初め頃には花を咲かせます。球根の内部に花芽をもっており、球根の力のみで花を咲かせられるため、水栽培にも適しています。もちろん、鉢植えや地植えにして育てることもできます。

ヒヤシンスの基本データ
学名:Hyacinthus orientalis
科名:ユリ科
属名:ヒヤシンス属
原産地:ギリシャ、シリア、小アジア
和名:風信子(フウシンシ)、飛信子(ヒヤシンス)  
英名: Hyacinth
開花期:3〜4月
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、青、紫
発芽適温:5~20℃
生育適温:5~20℃
切り花の出回り時期:12~3月
花もち:7日前後

ヒヤシンスは、前述したように、水栽培もできる育てやすい植物です。耐寒性が強いため、全国で栽培できます。ヒヤシンスを球根から育てるときは、10月中旬~11月下旬頃が植えつけの適期です。芽出し球根のポット苗も出回るので、苗から育てることもできます。

2.ヒヤシンスには栄養を補うための肥料が必要です

水栽培の状態でも、立派な茎を伸ばし、美しい花を咲かせるヒヤシンス。球根の内部にたっぷりと栄養分を蓄えているため、土に植えた場合も、多くの肥料は必要としません。

土に植えたヒヤシンスは、太陽の光と土中から吸い上げた水分を使って光合成を行ない、栄養を作り出しています。また、土からも、栄養を吸収しています。しかし、土質や環境によっては、次第に土の中の栄養が不足してしまうことも。すると、茎がしっかりと伸長しなかったり、花つきが悪くなったりします。太い茎を作り、たくさんの花を咲かせるため、適宜肥料を与える必要があります。

3.種類を知ることが、適した肥料選びの近道

肥料にはさまざまな種類があり、それぞれに特性があります。ヒヤシンスへの肥料の与え方を説明する前に、肥料について、基本的なことを知っておきましょう。

ホームセンターや園芸店には、たくさんの肥料が売られています。「草花用」や「花と野菜の肥料」と書かれているもの、なかには「バラ用」とか「パンジー用」と植物を限定した肥料もありますね。このように書かれていると、施す植物によっては、どの肥料を買ったらよいか迷ってしまいます。しかし、肥料の種類と特性を知っておけば、自分が何を選ぶべきか判断することができますし、不必要にいくつもの肥料を買い込んでしまうこともありません。

肥料は、有機質肥料、無機質肥料(化学肥料)のふたつに大別されます。

有機質肥料
油かす、魚かす、骨粉、鶏ふん、牛ふんなど動植物を原料とするものを、「有機質肥料」といいます。天然肥料と呼ばれることもあります。土壌中の微生物によって分解された肥料が、植物に吸収されるため、効果が出るまでには時間がかかります。

無機質肥料
化学的に合成されたものが「無機質肥料」です。後述の肥料の三大要素のうち1種だけのものを単肥、2種以上含むものを化成肥料といいます。初心者でも扱いやすく、効果が早く現れるのが特徴です。

また、その効き方から、緩効性肥料、遅効性肥料、速効性肥料と、3種類に分類されます。

緩効性肥料
肥料の効果が緩やかに持続するタイプの肥料です。

遅効性肥料
ゆっくりと効果が出る肥料です。有機質肥料の大部分が、この遅効性肥料になります。土中に混ぜた肥料が微生物により分解され、水に溶けた分だけが植物に吸収されていきます。

速効性肥料
肥料を与えると素早く吸収され、効き目が出ます。ただし、効果の持続性はありません。

肥料はその形状でも分類されます。土に置いたり混ぜ込んだりして使用するタイプの固形肥料と、規定倍率に水で希釈して使用するタイプの液体肥料(液肥)とがあります。

※液体肥料に似たもので、活力剤があります。活力剤は人間の場合に例えると、サプリメントや栄養ドリンクといった、栄養補助食品のような役割をする製品。活力剤を使う際は、植物にとっての主食である肥料と併用することが必要です。

植物に必要な、肥料の三大要素

植物が育つためには、さまざまな栄養素が必要です。なかでも特に重要な三種類を、「肥料の三大要素(三要素とも)」といいます。市販されている肥料の袋に、大きく「10-8-7」などと数字が記載されているのを見たことがあるかもしれません。この数字は、肥料の三大要素である「N-P-K」の配合比率を表しています。書かれた数字が「10-8-7」であれば、この肥料はチッ素、リン酸、カリが10:8:7という比率で、配合された肥料であることを表しているわけです。

N:窒素(nitrogenous) 一般に「チッ素」と呼ばれています。枝や葉を茂らせる働きがあり、“葉肥え(はごえ)”とも呼ばれます。

P:リン酸(phosphate) 一般に「リン」あるいは「リン酸」と呼ばれています。花や実のつきをよくする働きがあり、“花肥(はなごえ)” “実肥え(みごえ)”とも呼ばれます。

K:カリウム(kalium) 一般に「カリ」と呼ばれています。茎や根を丈夫にする働きがあり、“根肥え(ねごえ)”とも呼ばれます

N-P-K以外に必要な要素は?

三大要素に対し、必要量は少ないものの極端に不足すると生育に影響するものとして、ミネラル類があります。この要素は中量要素と微量要素に分類されます。中量要素はカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg・苦土)、イオウ(S)など。微量要素には亜鉛(Zn)、塩素(Cl)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)があります。先の三大要素に、さらにこれらの中量要素、微量要素を加えた肥料もいろいろ市販されています。

4.こんなタイプの肥料が、ヒヤシンスにおすすめ

ヒヤシンスは、球根の中に栄養を蓄えているため、基本的に少ない肥料でもしっかりと育ちます。ただし、少なすぎると株が十分に育たず、病害虫に侵されやすくなります。反対に多すぎると、細くてか弱い茎や葉が、長く伸びるだけとなってしまいます。そのため、肥料の量には、十分に留意する必要があります。

ヒヤシンスに適した肥料は、効果が緩やかに、長く続く緩効性肥料です。与えたときからゆっくりと効きはじめ、効果が長期間続くことが、緩効性肥料の特徴です。

5.肥料を与え始める、時期とタイミング

肥料には、与えるのに適した時期があることを心得ておきましょう。

まずは植えつけ(定植)のタイミングで与える、「元肥(もとごえ・もとひ、基肥・きひ)」について。元肥として、緩やかに長く効く粒状の緩効性肥料と苦土石灰を用土に混ぜておきましょう。固形の有機質肥料を施す場合は、球根から離すため、表土に埋めます。

次は、先の元肥が切れた頃のタイミングで与える、「追肥(ついひ)」です。元肥はヒヤシンスの生育とともに効果が薄れてきます。つぼみが株元から見え始める頃(暖地では3月中下旬)に、緩効性化成肥料を追肥します。

花が終わる頃に肥料を与えると休眠期に肥料分が残り、球根が腐ることがあります。花後の追肥は避けたほうがいいでしょう。

6.ヒヤシンスへの肥料の与え方が知りたい

実際に、ヒヤシンスを育てる過程での、肥料の与え方を見てみましょう。

ヒヤシンスの球根の植えつけは、10月中旬~11月下旬頃に行います。鉢やポットに球根を植えつけるとき、元肥として緩効性の粒状化成肥料と苦土石灰を用土に混ぜておきます。地植えにする場合は、植えつけの前に元肥として粒状化成肥料と苦土石灰を加え、土をよく耕しておきます。

市販の培養土のなかには、すでに元肥が配合されているものがあるため、土の成分をよく確かめてから元肥を施しましょう。

3月中旬以降、つぼみが株元から見え始める頃から追肥が必要となります。液体肥料を追肥する場合は、2週間に1回、固形肥料は45~60日に1回、与えるようにしましょう。液体肥料は、規定の希釈になるよう、水で薄めることを忘れずに。

その後、葉の色が薄かったり、花つきが悪かったりと、元気がない様子が見られたら適宜、追肥を施すようにしましょう。

7.ヒヤシンスに肥料を与えるときの注意点は?

ヒヤシンスは、球根に栄養を蓄えているため、多くの肥料を必要としません。肥料を施しすぎたり、花が終わる頃に肥料を与えたりすると、休眠期に肥料分が残り、球根が腐ることがあります。量やタイミングに十分留意しつつ、肥料を与えるようにしましょう。

肥料をあげすぎると「肥料やけ」が起きます

ヒヤシンスに限らず、どの植物も化成肥料を多く与えすぎると、土中の肥料成分の濃度が高くなって、根が傷む「肥料やけ」が起こる可能性があります。肥料やけになってしまうと、場合によっては枯れてしまうことも。また、ヒヤシンスの場合、球根が腐り、掘り上げができなくなってしまうことがあります。そんなトラブルが起こらないように、肥料を与えるときは、袋に記載されている説明書を確認し、使用量の目安と使い方(土に混ぜる、水で希釈するなど)を守りましょう。

鉢植えも地植えも追肥の頻度に、特に決まりはありません。日々、ヒヤシンスをよく観察し、適量を適したタイミングで与えることが大切です。

構成と文・アマナ/ネイチャー&サイエンス

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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