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アセビの正しい剪定方法。時期やコツを知れば、初心者でも簡単にできます

記事 2018/04/10
アセビの正しい剪定方法。時期やコツを知れば、初心者でも簡単にできます

春先に、野山や公園などでよく見かけるアセビ。スズランのような小さな釣り鐘形の花を、房状に咲かせる花木です。ほかの花木に比べて難しい剪定が必要ないことから、初めて庭木を育てるという人にも人気。とはいえ、剪定がまったく不必要なわけではありません。そこで、植物の剪定についての基本とともに、アセビの剪定の仕方を詳しく紹介します。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

1.アセビを育てる前に知っておきたいこと

アセビは常緑性の低木です。アシビ、アセボとも呼ばれ、日本の山地にも自生しています。半日陰でもよく花が咲く丈夫な常緑樹なので、庭木や生垣などにもよく利用されています。

常緑樹としては寒さに強く、大気汚染、潮風、乾燥にも強いため、条件の悪い場所にも植えることができるのが特徴です。成長は早くなく、株は株立ち状にこんもりして自然とまとまるので、管理の手間が少なくてすむこともガーデニング初心者には魅力です。

アセビの基本データ
学名:Pieris japonica
属名:アセビ属
原産地:日本、中国東部、台湾
和名: 馬酔木(アセボ)
英名:Japanese andoromeda
開花期:2月下旬~4月中旬
花色:赤、ピンク、白
発芽適温:15℃前後 
生育適温:15~25℃ 

アセビは苗から育てるのが一般的で、鉢植えでも地植えでも栽培できます。植えつけは、新芽が伸び始める前の3~4月、または10~12月上旬(寒冷地では10月~11月中旬)が適期です。

シェードガーデン(日陰を活用する植物栽培)としても人気を集めるほど、アセビは日陰でもよく育ちます。しかし、日照が少ないと、やはり花数が少なくなるため、午前中は日が当たる半日陰か、日なたで育てるとよいでしょう。また、暑さや乾燥が苦手なので、西日が当たる場所や冬に、乾風が当たる場所もおすすめしません。

アセビは株全体に、アセトポキシンという有毒成分を含んでいます。そのため、和名の「馬酔木」は、葉を食べた馬が毒にあたって酔っ払ったようにふらふらしてしまったことに由来するとされています。昔はこの有毒成分を害虫駆除のために利用していたほど。葉や茎を食べない限り接触しても無害ですが、ペットや子どもがいる家庭は、誤食にはくれぐれも注意してください。

2.アセビに剪定って、じつは必要です

剪定とは、植物の姿形を整えたり、風通しをよくしたりする作業のことです。見た目を美しくするだけでなく、養分を効率よく利用させて生育を促進させたり、開花や結実の調整をしたり、病害虫の繁殖を予防したりする効果があります。剪定=庭木の枝切りと思いがちですが、じつはそれだけではないのです。

ガーデニングは盆栽と違うのだから、植物には自由にスクスク育ってほしい、なるべく自然のままに、と思う人が多いかもしれません。でも、剪定することで日当たりや風通しがよくなり、病害虫の予防になります。植物の健康を保つために、欠かせないお手入れであると理解して、行うようにしましょう。

アセビは生長スピードが遅く、放っておいても自然と丸い樹形を作るので、あまり剪定の必要はありません。ただ、若い木は枝の伸びがよいので、たまに枝が飛び出て樹形を乱したり、枝同士が重なって混み合ったりするような場合があります。

そこで、アセビには下記のような剪定が必要になってきます。

切り戻し(※)
伸びた枝や茎を途中まで切り詰めることで、植物を美しい姿に整えるための作業です。また、余分な枝を減らすことで、風通しや日当たりがよくなり、病気や害虫の予防にもなります。

※切り花で、花の水あげをよくするために、茎の根元を新しく切り直すことも「切り戻し」といいます

刈り込み
生垣やトピアリー(植物をさまざまな形に立体的に仕上げた造形物)など、表面全体を伸びた枝の先端から均一に刈ることです。形を美しく保つことが目的です。

また、剪定とは少し違いますが、アセビを健やかに美しく育てるためには、以下のことも知っておきましょう。

アセビは新しく伸びた枝の先端部に、花芽が7~8月頃できます。花芽ができるとすぐに花穂が伸び出し、秋には翌年に開花するつぼみをつけて越冬します。ただし、乾燥や肥料不足などから夏前に花穂をつけることも。これらは残念ながらつぼみが落ちやすく、咲いたとしても貧弱な花にしかなりません。そのような場合は8月下旬頃に、2、3枚葉をつけて花穂を切り取りとよいでしょう。

また、アセビは株が老化して根が張りすぎると、花数が多くなります。例年になく花数が急に増えたときは、株の老化の可能性が高いということです。そのような場合は、株の周りに垂直にスコップを突き入れて根を切る「根回し」という作業を行い、株の若返りをはかるようにしてください。鉢植えの場合は、根回しを兼ねて、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。

3.知りたい! 剪定する目的とメリット

切り戻しの目的とメリット

アセビは自然に樹形が整うのが魅力ですが、それでも若い木は枝の伸びがよく、ぴょこんと飛び出して樹形を乱すことがあります。伸びすぎた枝を切り戻すとすっきりして樹形が整うだけでなく、元気な脇芽が伸びることになるので、花をたくさん咲かせることができます。また、混み合っている余分な枝を切り取ることで、風通しや日当たりがよくなり病気や害虫の予防になるため、アセビが元気に健康に育つ環境が整います。さらに体積が減るので、過酷な夏の暑さによるアセビのエネルギーの消耗が軽減されます。

刈り込みの目的とメリット

アセビを生垣として育てる場合は、高さや幅などの外形を整える作業が必要になります。それが「刈り込み」です。飛び出した枝や、根元から出てくる細い枝の「ひこばえ」などを刈り込みバサミで切り揃えることで、一定の大きさが保てます。刈り込むことで枝先が密生して新芽が揃い、同じ位置から芽吹きます。適期は新芽を出す直前の3月頃。太い枝は小枝のところで切り、切り口は保護剤を塗っておきましょう。

4.剪定に適した時期を、見極めましょう

アセビの剪定は、その目的によって、適した時期が異なります。言い換えれば、適期ではない時期に、剪定をしてはいけません。

切り戻しの適期と方法

開花後のなるべく早い時期、4~5月までに、花がら摘みを兼ねて行いましょう。花がら摘みは、花穂をつけ根(花茎の元)から切り取ればOKです。花がらをつけたままだと結実のために樹勢が衰え、新しい枝が伸びにくくなるのです。花芽は新しい枝の先端にできるので、花つきもよくなります。

アセビは冬が来るまでに、つぼみの元をつけてから越冬します。秋以降に、伸びすぎたからといって枝を落とすと、翌年の花まで落とすことになるので厳禁です。

切り戻しの手順
①飛び出した新しい枝を、剪定バサミを使って樹冠(枝葉が茂っている部分と枝先の輪郭)内で切り落とします。
②下方の枯れた枝や重なり合った枝をつけ根から切り落として間引きし、全体を日当たりと風通しよくします。
③太い切り口には、枯れ込むのを防ぐために癒合剤(※)を塗っておきます。

※癒合剤(ゆごうざい)とは、樹木の枝や幹を切った際、切り口からの雑菌の侵入や水分の蒸発を防ぐために使用する薬剤のこと。チューブに入ったペースト状のものが多く、園芸店などで入手できます。

刈り込みの適期と方法

切り戻しと同じく、開花後のなるべく早い時期(4~5月)に行います。新しい枝の先にできる花芽の位置が揃います。

刈り込みの手順
①樹形から飛び出している枝を、つけ根から剪定バサミで切り取ります。
②どれくらいの高さや幅にしたいかイメージして、側面と天面を刈り込みバサミで刈り込んでいきます。
③ある程度刈り込んだら、少し離れたところから見て、形の悪い部分を整えていきます。表面に枝の切断部が出ているところがあれば、少し深いところで枝を切るとよいでしょう。
④刈り込み後の枝に、引っかかっている枝葉を取り除いてきれいにすれば終了です。

5.剪定のポイントは、枝や茎の選び方です

庭木には、ほかの枝の生長を妨げたり、見栄えを悪くしたりしている枝など、不要な枝があります。これらは「不要枝」「忌み枝」と呼ばれ、剪定の対象になりますが、アセビの場合はそれほど難しくありません。

切り戻しは、樹冠から飛び出している枝や、内側の混み合った枝を選んで切り取ればOKです。また、株の根元から出てくる細い枝を「ひこばえ」といいますが(「ヤゴ」「ヤゴ吹き」と呼ぶことも)、これも不要な枝なのでカットしてOKです。

6.アセビの剪定には、コツがあります

アセビの剪定のコツは、樹冠から飛び出した枝を切って樹形を整えることと、内側の混み合っている枝を間引くことに尽きます。

せっかく育った枝を切り取るのはかわいそう…、ハサミを入れるなんて怖い…という声をガーデニング初心者からよく聞きますが、植物の剪定は人間にたとえると“散髪”や“爪切り”のようなもの。傷つけたり、生命に害を及ぼしたりする作業では決してありません。むしろ、アセビが元気に快適に、たくさんの花を咲かせるために必要なケアだと考えて、行ってあげましょう。

7.剪定をするときの注意点はこちらです

アセビに限らず、植物を剪定するときはよく切れる園芸用の剪定バサミを使いましょう。キッチンバサミや文房具のハサミしかないから…という初心者が少なくありませんが、ヘアカットをするのにキッチンバサミを使わないのと同じく、植物のことを思うなら、やはり園芸用のハサミを使ってあげたいもの。先が細いものは、細かな作業に便利です。

また、そのハサミを“清潔”な状態で使うことが重要です。いろいろな植物を育てている場合、道具を媒介として病気が移ってしまうことがあるからです。病気にかかった植物を切ったあとには、消毒が必要になります。ただし、罹病しているかどうかの判断はたいへんに難しく、ひと株ごとに必ず薬局で売られている消毒用エタノールに浸けたり、バーナーなどでハサミの刃の部分を焼いたりして殺菌する様に心がけます。

普段のお手入れは、使用後に水で洗い、水分をよく拭き取ってから、オイルを塗っておく程度で大丈夫です。

構成と文・岸田直子

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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