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ガーベラに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

ガーベラに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

切り花や園芸でおなじみのガーベラは、カラフルで丸く愛らしい花が魅力的。世界中で親しまれている植物です。歴史は意外と浅く、1878年に南アフリカで発見されたのが最初とされています。その後、ヨーロッパ諸国を中心に品種改良が盛んに行われ、流通されている園芸種は、現在なんと約2000品種も。初心者が育てやすい花のひとつですが、栽培時にはいくつかのポイントがあります。なかでも肥料は、与え方が開花に大きく影響します。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する園芸研究家の矢澤秀成さんに、上手な肥料の与え方をお聞きしました。

1.ガーベラを育てる前に知っておきたいこと

ガーベラは多年草で、きちんと管理して育てれば、数年にわたり花を咲かせてくれる植物です。まずは、ガーベラと仲よくなるための基本情報を知っておきましょう。

ガーベラの基本データ
学名:Gerbera jamesonii Hybrid
科名:キク科
属名:ガーベラ属
原産地:南アフリカ
和名:花車(ハナグルマ)、大千本槍(オオセンボンヤリ)
英名:Gerbera
開花期:3~5月、9~11月
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、緑、茶、複色
発芽適温:20~25℃
生育適温:10~20℃
切り花の出回り時期:オールシーズン
花もち:5~10日

ガーベラを種から育てるなら、植えつけは4~5月がベストです。また、暑さが落ち着く9月下旬~10月中旬も種まきに適しています。苗は、3月中旬~5月、または9月中旬~10月に出回ります。ガーベラは、いくつかのポイントを押さえて栽培すれば、ガーデニング初心者もトライしやすい植物。ここでは、植物の栽培で特に重要な“肥料”に着目し、次の項以降で詳しく説明しましょう。

2.ガーベラには栄養を補うための肥料が必要です

植物を栽培するとき、水やりは日常的に行っても、肥料はあまり…、という方はいるでしょう。確かに、栽培しやすいといわれる植物の大半は、肥料なしでもある程度は育ちます。

しかし、植物は生きていくうえで、光、水、栄養が不可欠です。なかでも、ガーベラのように花を咲かせる植物は、開花の際に多くの栄養が必要になります。土耕栽培の植物は、土中のさまざまな栄養素を根から吸収していますが、含まれる栄養素は土によって千差万別。これは市販の培養土も同様です。

土に植えられた植物は、その根が届く範囲で必要な栄養素を吸収しています。しかしその状態が続くと、土中の栄養素に偏りが出たり、栄養不足になったりして、生育が妨げられることに。特に、鉢植え植物は根を張るスペースが限られるため、この影響を受けやすいのです。そのため、土中の栄養素をバランスよく補う「肥料」が、必要になります。

3.種類を知ることが、適した肥料選びの近道

ホームセンターや園芸店の店頭には、たくさんの肥料が並んでいます。「草花用」「花と野菜の肥料」と書かれているもの、「バラ専用」「パンジー・ビオラ専用」と植物が限定されているものなど、ラインナップはじつに多彩。肥料の種類は多岐にわたり、それぞれに特性があります。

では、ガーベラにはどのような肥料を与えるとよいのでしょうか? それを知るためにはまず、肥料全般において基本的なことを知るのが大切です。

肥料は大きく分けて、有機質肥料と無機質肥料の2種類があります。

有機質肥料
油かす、骨粉、魚かす、鶏ふん、牛ふんなど、動植物由来の有機質が原料の肥料。独特のにおいがします。土壌中の微生物によって分解された栄養素を植物が吸収するため、効果はゆっくりと現れます。

無機質肥料(化学肥料)
鉱物などの無機質を原料として、化学的に合成した肥料です。化学肥料、化成肥料とも呼ばれいます。ほぼ無臭で初心者でも扱いやすく、効果が早く現れるのが特徴です。

また、肥料は効き方別に、緩効性(かんこうせい)肥料、遅効性肥料、速効性肥料の3種類にも分けられます。

緩効性肥料
成分が緩やかに溶け出し、効きめが一定期間持続する肥料です。

遅効性肥料
植物に与えてしばらく時間が経ってから、効きめがゆっくり出始める肥料。土中の微生物が分解することで成分が溶け出すため、効果発揮に時間がかかります。有機質肥料のほとんどが、この遅効性です。

速効性肥料
植物に与えると成分が速やかに吸収され、効きめがすぐに現れます。一方で、効果がなくなるまでの時間が早く、持続性はありません。

肥料は粒状、粉状など、形状はさまざまですが、大きく分けると固形と液体の2タイプがあります。

固形肥料
粒状や粉状、小石ほどの大きさのもので、有機質肥料と無機質肥料のどちらにもあります。土に混ぜる、上からまく、置くといった方法で植物に与えます。

液体肥料
無機質肥料の一種で、水で希釈して使う液体タイプです。

液体肥料と混同しやすいものに「植物活力剤」がありますが、これは肥料ではありません。日本では、肥料は一定量の成分を含むことが法律で定められています。その基準に満たないものが、植物活力剤。人間でいうと、サプリメントなど栄養補助食品のような役割を果たします。植物活力剤を使う際は、植物にとっての主食である肥料と併用するのが大切です。

植物に必要な、肥料の三大要素

人間の成長に栄養素が欠かせないのと同じく、植物も育つためにはいろいろな栄養素が必要です。なかでも大切なのが「チッ素(N)」「リン酸(P)」「カリ(K)」の3つで、肥料の“三大要素”といわれています。

N:窒素(nitrogenous) 一般的に「チッ素」と呼ばれます。枝や葉の生育に必要な養分で、別名”葉肥(はごえ)”とも。

P:リン酸(phosphate) 一般的に「リン」あるいは「リン酸」と呼ばれます。花や実の成長を促進させる働きをもち、”花肥(はなごえ)””実肥(みごえ)”ともいわれます。

K:カリウム(kalium) 一般的に「カリ」と呼ばれます。茎や葉を丈夫にして、根の成長を助ける働きがあり、別名は”根肥(ねごえ)”。

この3つは通常、上記の順で「N-P-K」と表示され、肥料の配合比率を表しています。市販肥料の袋に書かれている「10-8-7」といった数字は、チッ素(N)、リン酸(P)、カリ(K)が10:8:7の比率で配合されている、という意味です。

N-P-K以外に必要な要素は?

三大要素のほか、必要量は少ないものの極端に不足すると生育に影響するのが、ミネラル類です。この要素は、中量要素と微量要素のふたつに分けられます。中量要素には、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg・苦土)、イオウ(S)があります。一方、微量要素には亜鉛(Zn)、塩素(Cl)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)があります。三大要素にこれらの中量要素や微量要素を加えられた肥料が市販されており、植物を健康的に育てるうえでおすすめです。

4.こんなタイプの肥料が、ガーベラにおすすめ

ガーベラに適しているのは、開花に必要不可欠なリン酸(P)が多い肥料です。市販の肥料を購入する際は、袋に記載された配分比率でリン酸の数値が高いものを選びましょう。

逆に、与えない方がよいのはチッ素(N)が多い肥料。前述のとおり、チッ素は枝や葉の生育を促進する栄養分です。ガーベラは、葉の量が多すぎると花が咲かなくなるため、注意してください。

園芸初心者は、粒状の緩効性化成肥料が扱いやすいでしょう。栄養分がゆっくりと溶け出すため、肥料焼け(後述参照)を起こしにくく、効果の継続期間が1~2か月(種類や季節により変化)と長いので、肥料やりの回数が少なくても大丈夫です。液体肥料を使うなら、与える頻度は多くなります。

5.肥料を与えはじめる、時期とタイミング

肥料の与え方には、大きく分けて「元肥(もとごえ)」と「追肥(ついひ)」の2種類があります。

元肥
種まきや植えつけ時の土に混ぜて与える、最初の肥料です。元肥には通常、効果が緩やかで長く続く緩効性肥料を使います。

追肥
元肥は植物の生育とともに効果が薄れてくるため、生育途中で肥料を補います。これを追肥といいます。

ガーベラは肥料が切れると、花が咲かなくなります。そのため、植えつけ時に与える元肥のほか、定期的に追肥を施します。

6.ガーベラへの肥料の与え方が知りたい

実際に、ガーベラを育てる過程での肥料の与え方を見てみましょう。

ガーベラは、苗から育てる方法と、種から始める方法の2通りがあります。それぞれの適期は異なり、苗の植えつけは3月中旬~5月中旬、または9月中旬~10月中旬に、種まきは4月中下旬~5月中旬(品種によっては秋も可能)に行なうのがベストです。鉢植えと地植えでは、肥料の与え方に多少の違いがあります。

鉢植えの場合の与え方

鉢植えでは、植えつけ時に元肥として緩効性の粒状肥料を用います。鉢植えで使う土は、市販の草花用培養土で大丈夫です。この土に、あらかじめ緩効性肥料と苦土石灰を混ぜておきます。ただし、市販培養土はあらかじめ元肥を含んだ製品があるので、使用前によく確認してください。

追肥は開花期中に、リン酸の多い液体肥料を2週間に1回程度与えます。

地植えの場合の与え方

地植えは、植える場所の土に対して3割ほど腐葉土を混ぜ、元肥として緩効性の肥料をまくとよく育ちます。また、追肥は春と秋の開花時、株の周りに化成肥料をまきましょう。

7.ガーベラに肥料を与えるときの注意点は?

ガーベラに限らず、植物に肥料を与えるときは必ず、正しい使用量と使い方を守ってください。市販肥料には、袋や添付されている説明書に、その肥料の成分や効果、使用量の目安、使い方(土に混ぜる、水で希釈するなど)が記載されています。これを守らずに植物に肥料を与えると、健康的に育つどころか、かえって成長を妨げることがあります。

肥料をあげすぎると「肥料やけ」が起きます

「肥料やけ」とは、肥料を多く与えすぎることで起こる現象です。土中の肥料成分が高濃度になり過ぎると根が傷み、株が元気をなくしたり、根腐れを起こして枯れてしまったりすることがあります。肥料は、使用量の目安と使い方を守ること。特に、鉢植えの場合は土の量が限られており、肥料成分が高濃度になりやすいので、肥料やけが起こりやすくなります。

また、元肥で与えるときに肥料が根に触れてしまうと、やはり肥料やけを起こします。植え替え時も注意が必要。植え替え直後の植物は根を傷めています。この状態で追肥を与えると、肥料やけの原因に。植え替えから2週間程度たってから与えるとよいでしょう。

日々、ガーベラを観察して状態を確認しながら、ほどよく肥料を与えてください。

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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