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スノードロップに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

スノードロップに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

純白の可憐な花をうつむき加減に咲かせるスノードロップは、春を告げる花として人気の高い球根植物です。早春に花ひらく草丈5cmほどの姿は、群生させても寄せ植えの素材にしても愛らしく、数年は植えっぱなしのままで楽しめるのも魅力です。スノードロップの花を元気に咲かせるための肥料の与え方とその注意点を、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

1.スノードロップを育てる前に知っておきたいこと

スノードロップは、数ある球根植物の中でも特に手がかからない部類に入り、植え付け後の作業がほとんど必要ないので、初心者でも安心して育てることができます。

スノードロップの基本データ
学名:Galanthus
科名:ヒガンバナ科
属名:ガランサス属
原産地:東ヨーロッパ
和名:マツユキソウ(待雪草)
英名:Snowdrop
開花期:2~3月
花色:白に緑の斑点
発芽適温:10℃前後
生育適温:5℃~10℃

日本でよく見かける品種は「ジャイアント・スノードロップ」をはじめとした数種類ですが、品種改良が盛んなヨーロパでは数百種類にも上るとも言われています。

「希望」や「慰め」という花言葉を持っていながら「死を象徴する花」という言い伝えが残る地域もあり、人に贈る場合には注意が必要な花です。

2.スノードロップには栄養を補うための肥料が必要です

人間に食事や日光が必要なように、植物が生きていく上でも、光・水・栄養は不可欠です。自然界では生育に必要な栄養分は物質の循環によって得ることができますが、栽培植物の場合には肥料という形で栄養を与える必要があります。

施肥をするメリットは大きく、肥料によって豊かになった土壌では健康な根が育ち、病害虫に強い株を育てることに繋がります。また、開花や結実率をアップするなど、植物を育てていく上でとても大切なアイテムです。

3.種類を知ることが、適した肥料選びの近道

肥料は、原料や効き方・形状によっていくつかの種類に分類されています。原料の違いでは有機質肥料と無機質肥料に分けられ、効き方には速効性肥料・緩効性肥料・遅効性肥料の3種類があります。そして、形状では固形肥料と液体肥料の2つに分かれます。

それぞれがどのような肥料なのか、項目ごとに説明します。

原料による分類

有機質肥料
動植物由来の油かすや骨粉、魚粕、鶏や牛のふん、草木灰など、天然由来の原料を利用したものを有機質肥料と呼びます。土に混ぜても植物がすぐに利用できるわけではなく、発酵や分解の過程を経て吸収できるようになります。そのため即効性はないものの、濃度障害を起こしにくいのが特徴です。ただし、虫を寄せやすく独特の臭いを発します。

無機質肥料
鉱石から抽出したものや、石油や硫酸などを元に科学的に合成されます。化学肥料とも言われ、臭いも少なく肥培管理がしやすいのが特徴です。ただし、与えすぎると植物に障害が出やすくなります。

効き方による分類

速効性肥料
与えればすぐに効果があらわれますが、長続きはしません。液体肥料や粒状・粉状の化成肥料などがあり、生育期の追肥や、花や実の後のお礼肥(おれいごえ ※1)に用います。

※1:花が終わった後や、果実の収穫後に施す肥料のこと。植物に十分な栄養を補給し、翌年の成長に備えるためのものです。

緩効性肥料
与えてすぐに効果があらわれ、長期間効果が続く肥料です。成分が徐々に溶け出すように肥料の表面にコーティング加工したものや、水に溶けにくい素材を使用したものなどがあり、元肥にも追肥にも用いられる、用途の広い肥料です。

遅効性肥料
有機質肥料や、それをベースに配合した肥料が遅効性にあたります。土壌にいる微生物などの分解が必要なため、与えてすぐには効果はあらわれません。

形状による分類

固形肥料
土壌に混ぜたりばらまいたりして使う粒状や、土の上に置く錠剤があります。原料が無機質肥料の緩効性タイプと、有機質肥料の遅効性タイプに分かれます。

液体肥料
水で薄めるタイプとストレートタイプがあり、製品の多くは化成肥料を液体にしたものです。効果は速効性なため、追肥として鉢植え栽培に用います。

植物に必要な、肥料の三大要素

生物の成長や生命維持に欠かせない栄養素のことを「必須元素」と言い、植物には16種類の必須元素があるとされています。

16種類のうち土壌から吸収しなければならない元素のなかで、特に多く必要とされるのが三大要素と呼ばれるチッソ(N)・リン酸(P)・カリ(K)の3つです。各要素の特徴を、順番に見ていきましょう。

チッソ(N)
植物の成長、特に葉や茎を大きくしたり色を濃くしたりするのに欠かせない要素です。別名を葉肥(はごえ)と言い、光合成に必要な葉緑素や植物のタンパク質などを作るのにも必要です。

リン酸(P)
植物の細胞を構成する成分のひとつで、実肥(みごえ)とも呼ばれ、開花や結実に役立つ要素です。他の二要素とは違い、多めに与えても過剰障害を起こす心配がありません。

カリ(K)
根の発育を促し球根を太らせる効果があるため、根肥(ねごえ)と呼ばれています。植物の生理作用をスムーズにする働きを持ち、暑さや寒さへの耐候性や病害虫への抵抗性を高めるのに役立ちます。

N-P-K以外に必要な要素は?

三大要素(N-P-K)に次いで必要量の多い肥料成分を中量要素と言い、カルシウム・マグネシウム・イオウの3つがこれに該当します。

カルシウム
根の発育に不可欠な要素で、植物の細胞同士を強固に結び付ける働きがあります。土の中ではアルカリ性を示すため、酸性度の土を中和するのに用います。

マグネシウム
葉緑素の構成に欠かせない成分で、リン酸の働きを助ける役目もあります。

イオウ
タンパク質の主成分であり、植物体中の酸化や還元など、生理作用に深いかかわりがあります。

その他に必要な成分に鉄・マンガン・ホウ素・亜鉛・モリブデン・銅・塩素の7種類があります。いずれも必要量はごくわずかですが、不足すると葉の変色や変形を起こし、植物の生育状態が悪くなります。

4.こんなタイプの肥料が、スノードロップにおすすめ

スノードロップを栽培するなら、緩効性化成肥料と液体肥料を揃えておくことをおすすめします。化成肥料は三大要素N-P-Kが同じぐらいの割合で配合されているものが良く、成分にバラつきのない市販の球根用肥料を使うと便利です。

また、液体肥料は球根を育ててくれるカリやリン酸が多めのものを用意しましょう。

5.肥料を与えはじめる、時期とタイミング

肥料の与え方には、植物の植え替えや定植時に施す元肥と、成長過程で必要な栄養を補う追肥の2種類があります。これは、鉢植えでも地植えの場合でも同様です。

スノードロップは基本的にあまり肥料を必要としない植物ですが、確実に花を咲かせるために、最低限の元肥と追肥は行います。

元肥の適期

スノードロップへの元肥のタイミングは、8月下旬~10月中旬の間に行う球根の植え付けや植え替え時です。鉢植え・地植え共に、規定量の半分の緩効性化成肥料を土に混ぜ込み、球根に時間をかけて栄養を蓄えられるようにします。

ただし、鉢植えなどで栄養素入りの球根用培養土を使用する場合には、元肥を与える必要はありません。

追肥の適期

スノードロップに追肥を行うタイミングは、花が咲き終わった後です。球根を太らせ翌年の育ちを良くするためのもので、鉢植えの場合には、カリが多い液体肥料を1000倍に薄めたものを2週に1回程度与えて、次の花のための下準備をしておきます。庭植えの場合は元肥に使用した緩効性化成肥料を施します。

その後は、植え替えをしない限り次の花後まで肥料は必要ありません。

6.スノードロップへの肥料の与え方が知りたい

スノードロップを育てる過程での肥料の与え方を見てみましょう。鉢植えの場合と地植えの場合、それぞれについて解説していきます。

鉢植えの場合

栽培用に用意した土に、緩効性化成肥料を混ぜ込んで球根を植えます。その後は早春の開花を待ち、花が終わる4月ごろにカリ分が多めに配合された液体肥料を1000倍に薄めたものを、2週に1度だけ与えてください。

地植えの場合

球根を植える場所の土に、あらかじめ緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきましょう。その後は鉢植えの場合と同じく開花を待ち、花が全て終わったら追肥として緩効性化成肥料を株の周りにばらまいておきます。

それぞれ使用する肥料の量は、製品の注意書きに従ってください。

7.スノードロップに肥料を与えるときの注意点は?

スノードロップは、植え付けの際に元肥を施しておけば、その後は花が咲き終わるまで特に肥料を必要としない花です。

注意点があるとすれば、鉢植えに追肥として与える液体肥料をあげすぎないことでしょう。肥料を過剰に与えすぎると、肥料やけを起こす危険性もあるので、十分に注意が必要です。

肥料やけに関しては、次の項で症状や改善策などを説明します。

肥料をあげすぎると「肥料やけ」が起きます

肥料やけとは、土壌の肥料濃度が高くなりすぎた時に根が障害を受け、水も栄養も吸収できなくなってしまった状態のことを言います。

いったん肥料やけを起こすと、元気があるように見えても葉の色が濃く変色したり、縁の方から枯れてきたりします。放っておけば株全体が弱ってくるので、早めの対処が必要です。

しかし、球根の根は一度折れると復活や再生はしないため、他の植物のように新たな用土に植え替えることができません。肥料やけが疑われる場合には、根元から土を洗い流す感覚で、鉢底から十分に流れ出るまで水やりすることを何度か繰り返すようにします。

肥料やけを起こさないためにも、施肥の時期や期間、肥料の使用量をしっかりと守りましょう。

文・ランサーズ

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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