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グラジオラスの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

グラジオラスの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

大ぶりで鮮やかな花をたくさんつけ、花壇やバルコニーを華やかに彩るグラジオラス。花色や花形のバリエーションが豊富なことから、多くのガーデナーから愛されています。また、丈夫で暑さに強いものが多いため、初心者の方も育てやすい花といえるでしょう。ここでは、歴史をはじめとする豆知識を交えながら、グラジオラスの育て方のポイントやお手入れのコツなどを紹介します。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

1.グラジオラスを育てる前に知っておきたいこと

グラジオラスの学名は、ラテン語で「Gladiolus hybridus」と表記されます。「Gladiolus」は「小さな剣」の意味。学名どおり、剣のような形をした硬い葉が、グラジオラスの特徴のひとつです。

グラジオラスの歴史は古く、ヨーロッパでは、古代ギリシャ時代から親しまれてきました。一説によると、当時の人々はグラジオラスの球茎を穀物の粉と混ぜて焼き、食していたのだとか。日本にグラジオラスが持ち込まれたのは、江戸時代の終わり頃のこと。当時は、「唐菖蒲(トウショウブ)」や「阿蘭陀菖蒲(オランダアヤメ)」と呼ばれていました。あまり普及しなかったものの、明治時代に再度持ち込まれ、その後広く栽培されるようになりました。

グラジオラスの基本データ
学名:Gladiolus hybridus
科名:アヤメ科
属名:グラジオラス属
原産地:アフリカ、南ヨーロッパ、西アジア
和名:唐菖蒲(トウショウブ)
英名: Gladiolus
開花期:夏咲き6~11月、春咲き3~5月
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、青、紫、緑、複色
生育適温:15~30℃前後
切り花の出回り時期:オールシーズン
花もち:7~10日

グラジオラスは大きく、「夏咲き」と「春咲き」の2タイプに分けることができます。それぞれ、言葉どおり、夏咲きグラジオラスは夏から秋にかけて開花し、春咲きグラジオラスは春が開花期にあたります。私たちがよく目にするのは、春に球根を植える夏咲きのタイプです。

夏咲きグラジオラスの球根は、暖地では3月下旬〜7月まで時期をずらしながら植えつけることができます。植えてからおよそ3か月で花が咲くので、咲かせたい時期から逆算して植えつけるといいでしょう。ただし、6月以降に球根を植えつけると、新しい球根ができにくくなります。一般的には、3月下旬から5月に植えつけることをおすすめします。

一方、春咲きグラジオラスの球根は、10~12月が植えつけの適期です

2.種類を知ると、選び方がわかります

グラジオラスの原種は300種ほど存在し、アフリカや欧州、西アジアなどに自生しています。

グラジオラスは大きく、「夏咲き」と「春咲き」の2タイプに分けることができます。私たちがよく目にするのは、春に球根を植える夏咲きのタイプです。それぞれの特徴と、代表的な系統、品種を紹介しましょう。

夏咲きグラジオラス

南アフリカの原種をもとに育成させた品種。春に球根を植え、6〜10月にかけて開花します。花色が豊富で、豪華な花を咲かせるのが特徴です。

グランディフロラ系

丈が高くて、大輪の花を咲かせます。ラベンダーピンクの色が美しいトラベラ、鮮やかな赤のヘクター、花を四方につける春の泉などが人気です。

ピクシオーラ系

丈が低くて、小輪の花を咲かせます。

春咲きグラジオラス

ケープ地方原産の野生種を交配させたもの。球根を秋に植え、3〜5月にかけて開花します。夏咲きに比べて、花は小さめ。なかには、香りがあるものもあります。

コルビリー系

ケープ地方原産の野生種である、カルディナリス種とトリスティス種を交配して作られました。5〜6月に開花します。

トリスティス系

とても丈夫で耐寒性が強いのが特徴。複数の系統の交配親になっています。花を咲かせるのは、4〜5月。

ナヌス系

矮性早咲き系統がナヌス系にあたります。一部の花弁にひし形模様が出ることが特徴。4~5月に咲きます。

3.グラジオラスを育てるときに必要な準備は?

グラジオラスは鉢植えでも、庭や花壇に植える地植えでも育てることができます。育てるときは、ホームセンター、園芸店、街のフラワーショップなどで以下のものを用意しましょう。

準備するもの(鉢植え、地植え共通)
・グラジオラスの球根、または芽出し球根の苗
・土
・肥料
・土入れ、またはスコップ

*鉢植えの場合は、下記のものも用意
・鉢、または横長プランター 
・鉢底ネット
・鉢底石

4.適した土作りが、育てるコツの第一歩

グラジオラスは水はけのよい土を好みます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土で問題ありません。自分で単用土をブレンドして作る場合には、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜます。

地植えの場合には、水はけがよく、日当たりのいい場所を選びましょう。土質は、砂質と粘質のどちらでもOK。浅根性なため、根が伸長しやすいよう深く耕します。

いずれの場合も、あらかじめ元肥として、リン酸、カリ分の多い緩効性肥料を施しておきましょう。

5.グラジオラスの育て方にはポイントがあります

グラジオラスは、球根から育てるのが一般的です。植えつけの適期は夏咲き、春咲きで、それぞれ異なりますが、手順はどちらのタイプも共通です。

夏咲きタイプの育て方

球根の選び方

球根を選ぶ際は、ラベルの写真はもちろん、球根の状態をよく見ることが大切。大きくて、表面に凹凸や汚れのない締まった球根を選ぶようにしましょう。扁平なものは避け、丸みと厚みのある球根がベストです。

植えつけ時期と方法

夏咲きグラジオラスの球根は、暖地では3月下旬〜7月まで時期をずらしながら植えつけることができます。切り花生産者は、植えてからおよそ3か月で花が咲くので、咲かせたい時期から逆算して植えつけます。ただし、6月以降に球根を植えつけると、新しい球根ができにくくなります。一般的には3月下旬~5月に植えつけることをおすすめします。

鉢植えの場合の手順
①鉢に鉢底ネット、鉢底石を入れ、培養土を鉢の上端から8~10㎝くらい(球根の高さ+ウォータースペース分)まで入れておきます。
②培養土の上に球根を並べます。球根同士の間隔は、10㎝ほどが目安です。
③球根の上に、土をかけ、植えつけ完了です。

地植えの場合の手順
① 土壌に、肥料をすき込んでおきます。
② 球根の高さ2~3倍の深さになるよう、土壌に穴を掘ります。このとき、球根同士の間隔は、10~15㎝ほどが目安です。
③ 球根を穴に入れ、土をかけます。

鉢植え、地植えとも、植えつけ後は、たっぷりと水やりをしておきます。

春咲きタイプの育て方

球根の選び方、球根の植えつけに関しては、夏咲きタイプと同じです。花期が異なるため、植えつけの適期が異なります。

植えつけ時期と方法

春咲きのグラジオラスの球根は、10~12月が植えつけの適期です。寒さに弱いため、寒冷地ではハウスなどの施設が必要になります。植えつけの手順は夏咲きタイプと同様です。

6.グラジオラスと仲よくなる、日々のお手入れ

水やりのタイミング

時間帯は、朝~午前中のうちに済ませます。

鉢植えの場合は、基本的に「鉢土が乾いたら鉢底から流れ出るくらいにたっぷりと」水やりをします。グラジオラスは成長期に乾燥すると、株全体が弱ってしまいます。本葉が出てから開花までは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。開花後は、乾燥気味になっても問題ありません。

地植えにした場合は、植えつけ時にたっぷりと水やりをしたあとは、特に必要ありません。

肥料の施し方

チッ素分はやや少なく、リン酸、カリ分の多い肥料が適しています。

鉢植えの場合、元肥に加え、月に1回の置き肥、もしくは月に3回の液体肥料が必要となります。

地植えの場合は、植えつけ前に、リン酸、カリ分の多い肥料を、3.3平方メートル当たり300~400gの配分で、地面にすき込んでおきましょう。また、開花した直後も肥料を施します。

グラジオラスはやせ地でも育ちやすいため、他の草花に比べ、肥料は少なめでも問題ありません。

倒れない工夫が必要

グラジオラスは風で倒れやすいため、つぼみが出たタイミングで支柱を立てましょう。もしくは、根元に土を寄せ、しっかり固定します。

7.剪定は時期に注意して、摘心と切り戻しをします

開花後は、本葉を残した状態で、花茎の先を摘みとります。これは「摘心」といい、株のスタミナ切れを防ぎ、新しい球根の成長を促すことができます。

また、花が咲き終わったら、種がつくのを防ぐため、咲き終わった花の、花がら摘みを兼ねて、花穂のいちばん下の部分で切り取る「切り戻し」を行います。

摘心の適期と方法

開花後すぐ、茎や枝の先端をカットします。

切り戻し(花がら摘み)の適期と方法

夏咲きタイプは6〜10月、春咲きタイプは3〜5月の開花期が、適期になります。咲き終わった花を、花穂のいちばん下で切り取りましょう。

8.知りたい! グラジオラスの増やし方

球根の掘り上げと保存方法

グラジオラスは、花が咲き終わってから、新しい球根が太り始めます。開花してからおよそ60日で十分な大きさに成長するため、この時期に掘り上げます。

掘り上げた後、およそ1か月間陰干しします。その後、新しい球根や、その周囲についた木子(きご)と呼ばれる小さな球根、古い球根を切り分けます。丸みや厚みのある、しっかりとした球根を選び、紙袋などに入れて室内で保存します。

種の採取と保存方法

グラジオラスは、種から育てることもできます。花が咲き終わっても、花穂を切り取らず、そのままにしておくと、やがて種が実ります。種は乾燥させ、密閉容器に除湿剤と一緒に入れます。涼しくて日が当たらない、湿気の少ない場所で翌年まで保管しましょう。

球根の植えつけ適期と同じ時期に、種をまきます。およそ3年ほどで株が成長し、花を咲かせるようになります。

9.毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです

育てるときに注意したい病気

グラジオラスの病気でもっとも多いのは、フザリウム腐敗病です。また、肥料にチッ素が多く含まれていると、球根が腐りやすくなります。

予防策として、鉢植えの場合は、毎年新しい用土を使うようにしましょう。地植えの場合は、2~3年で植え場所を変えることで、ウイルスの感染確率が低くなります。

フザリウム腐敗病
フザリウム菌によって根が侵される病気。根から球根に広がり、やがて、茎や葉が黄色く変色しながらしおれ、最終的には、株全体が枯れてしまいます。土の中にフザリウム菌がいるため、菌を抑制する有効微生物含有の土壌改良材を施しておくといいでしょう。

育てるときに注意したい害虫

ハダニ
5月頃、晴天が続くと、葉裏に発生しやすくなります。ハダニが寄生しているのを見つけたら手袋をつけて潰すか、もしくは水をかけて落としましょう。大量に寄生している場合、薬剤を散布して駆除します。

スリップス
グラジオラスのつぼみが出る頃、スリップスに加害されることが多くなります。健康な花が咲かなくなる原因となるため、見つけたら花を摘み取るなどして処分します。

植えつけ時に浸透移行性殺虫剤を土に混ぜておくと、スリップスによる加害を高確率で防ぐことができます。

10.グラジオラスと相性のよい寄せ植えの植物

グラジオラスの寄せ植えは、あまり見かける機会が少ないかもしれません。いくつかの品種を一緒に植えたり、花壇のなかに密植気味に植えたりするのが、グラジオラスの人気の植え方です。

グラジオラスは草丈が高いものが多く、グラジオラスのみを植えると、茎周りが寂しい印象になりがちです。そのため、グラジオラスが開花している間、草丈をカバーしてくれる花やグリーンを寄せ植えすると、より一層、華やかな印象になります。たとえば、可憐な雰囲気があるユーフォルビアや、爽やかな花色が特徴のリアトリスなどは主張しすぎず、寄せ植えにおすすめです。また、黄色や緑のカラーリーフと寄せ植えにすると、洗練された印象に仕上がります。

構成と文・アマナ/ネイチャー&サイエンス

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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