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知りたい! カスミソウの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方

記事 2018/10/29
知りたい! カスミソウの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方

春霞がたなびくような、ふんわりとやさしい花。そんなイメージはもっていても、カスミソウについて知らないことが多そうですね。どこから来た花? どんな種類があるの? 新鮮な花はどこを見て買うべき? そして、切り花のカスミソウの生産数ナンバーワンは日本だと知っていましたか? フラワーアレンジやドライフラワーとして楽しむ「切り花のカスミソウ」について、調べてみました。なかなか興味深いカスミソウです!

1.カスミソウの原種は世界に125種ほど

カスミソウ(霞草)。風情あふれるその名前から、日本生まれの花だと思っている人も多そうですね。じつは海外を生まれ故郷とする花。カスミソウが分類されるギプソフィラ属の植物は、夏の間、冷涼な気候を好み、地中海沿岸から中央アジア、シベリアにかけた一帯をルーツとします。原種の数は、なんと約125種! ふだん花屋さんで見るカスミソウからは想像できないほど多様な種類があります。カスミソウが日本へもたらされたのは、明治~大正初期とされます。

カスミソウの基本データ
学名:Gypsophila 
科名:ナデシコ科
属名:ギプソフィラ属
原産地:ヨーロッパ、アジア
和名:霞草(カスミソウ)、花糸撫子(ハナイトナデシコ)、群撫子(ムレナデシコ)、小米撫子(コゴメナデシコ)
英名:baby's-breath、Gypsophila
開花期:6月
切り花の出回り時期:周年
花色:白、ピンク
花もち:7~10日

2.カスミソウって、どんな花?

さて、カスミソウとひと言で言っても、じつはふたつのグループがあると知っていましたか? 「カスミソウ」と検索したことがある方なら、気づいていたはず。

ひとつは「一年草」のカスミソウです。花がとっても小さくて、ひと重の花や、なかには薄いピンクの花があったりします。それらは花壇や寄せ植えなどで親しまれているカスミソウ。もっともポピュラーなのはウクライナやコーカサス地方を原産地とする‟エレガンス種”で、日本へは大正期に伝えられたと言われます。

一方、「宿根(しゅっこん)カスミソウ」という多年草のグループもあり、花屋さんで、切り花として販売されているのは、こちらのタイプ。地中海沿岸からシベリアの寒冷地に自生する‟パニクラタ種”と呼ばれるカスミソウがおもで、茎が細く、小花を無数に咲かせるのが特徴です。日本へは一年草のエレガンス種に先駆けて輸入されたものの、切り花として本格的に栽培されるようになったのは、昭和50年代とか。

以下、この記事では、宿根カスミソウは「カスミソウ」と省略し、切り花のカスミソウについてご説明しますね。

3.カスミソウの種類・品種別の違いと見分け方が知りたい

バラなどの華やかな花に添えられたり、カスミソウだけの大きな花束が憧れだと言われた時代が、かつてありました。そんなカスミソウがまた、ドライフラワーや花冠にされるなど、人気が復活しています。懐かしくも新しいカスミソウ。でもよくよく考えると…あまり詳しく知られていない花かもしれません。例えば、こんな疑問…。

「そもそも、カスミソウに品種ってあるの?」

花屋さんに並んでいるときには、品種名までは明記していないこともありますが、じつは、さまざまな品種があるんです。

もっとも流通量が多いのは、下の写真の2品種です。「アルタイル」(↓の写真の右)と「ベールスター」(左)。

いずれも、日もちのよさで人気の品種。よく似た花同士ですが、はっきりとしたこんな違いがあります。

「アルタイル」…中輪タイプ。花数が多く、同時に開花するため、ボリューム感のあるカスミソウです。

「ベールスター」…花のサイズに注目してみましょう。アルタイルとくらべると、大きいと思いませんか? いちばん大きな花のサイズは約1cmにもなるそうです。花色もより白く、純白度を極めた品種です。

ほかに、茎に特徴のあるカスミソウもあります。

「マリーベール」…茎が固いイメージのカスミソウに反して、やさしくしなるのでアレンジの幅が広がるというメリットがあります。花は中輪サイズ。

「ビッグミスター」…草丈の長い大輪品種。大きな空間装飾に向いていそう。

「スノークイーン」…茎が明るく、爽やかな緑色をしています。

花屋さんは用途に合わせて、カスミソウを使い分けているんです。訪ねたら、花や茎の様子をじっくり観察してみましょう。姿全体でみると、丸みのあるドーム形に枝が広がるものや、上に固まってフラットに咲くもの。花茎(花がついている茎)の長さや茎の色合いも含めると、じつにさまざまなカスミソウが出回っています。

4.清楚な花、カスミソウが生まれるところ

じつは、日本が世界でもっともカスミソウの生産量の多い国だと知っていましたか? 清楚な花を好むお国柄からなのでしょうか。

代表的な産地は福島県と熊本県です。いずれも生産量日本一。いちばんがふたつの県って、不思議ですよね? 出荷する時期が異なるんです。夏と秋は福島県産で、そのあとの冬と春には熊本県産のカスミソウにバトンタッチ。こうして、私たちは、一年を通して、カスミソウを楽しむことができます。

豪雪地帯の福島県昭和村では、冬の間に積もった雪を利用した「雪室(ゆきむろ)」で、夏、カスミソウを最適な温湿度で輸送するための冷却装置にしているそうです。

カスミソウで、もうひとつ覚えておきたいことがあります。それは香りのこと。独特な匂いを軽減するために、産地では処理も行っています。小さな小さなカスミソウへのたゆまぬ努力が実り、多くの人に愛される花になっているんですね。

5.カラフルなカスミソウも登場しています

白いカスミソウのほかにも、最近ではカラフルなカスミソウも見かけるようになりましたね。ピンクや水色、緑、紫…。そんな色のカスミソウが開発されたのかと思っている人もなかにはいそう。これは、‟染め”と呼ばれる切り花で人気のジャンル。もともとの白いカスミソウに専用の染料を切り花に吸わせて、出荷されているんです。もちろん、染料は体に害のない安全なものを使用。

見つけたら、いけてみませんか? 水に挿しているうちに、染料に染まっていないつぼみが咲いて、1本で、白と色つきの花が交じり合うバイカラーのカスミソウが楽しめるんです! このほか、ラメを吹きつけたキラキラ輝くカスミソウもあります。どちらも産地で加工して出荷されます。面白いですね!

6.カスミソウを飾るなら、ここをチェック!

日もちがするように、花が白くなるように、そしてアレンジしやすい丈になるように…と、手塩にかけて育てられたカスミソウ。ささやかな花ながらも、日本の花き栽培技術の一端を垣間見せてくれます。消費者としては、いちばんよい状態の花を愛でたいところです。品種はさまざまでも、鮮度の見極めは同じ。

花屋さんへ行ったら、花をよく見てください。

上の写真のように、‟花がしっかり開花し、つぼみからも、白い花びらが見えている”カスミソウが、選ぶべき花。出荷されてから間もないカスミソウのあかしです。

つぼみは、白い花びらが少しでも覗いていたら、開花します。それでも心配なら、切り花用鮮度保持剤を使ってみましょう。花屋さんによっては小袋をサービスでつけてくれる、あの鮮度保持剤です。使うことで、つぼみが開花する確率はかくだんにアップします。

反対に、避けたいカスミソウは、黄色や薄茶になっている花です。言わずもがなですが、これはちょっと時間が経っているサイン。そんなカスミソウは、つぼみの色もいきいきとはしていません。だから、買うときは、すみずみまで目を凝らして選ぶことが大切ですね。

また、花屋さんに並ぶカスミソウには長い大枝と、短めのものがあり、高いものでは1000円ほどするものもあります。どんなふうにアレンジするか、あらかじめ決めてから購入しましょう。

7.飾る前のひと手間で、さらに美しいカスミソウが楽しめます

新鮮なカスミソウを選べたら、いける前にもひと手間かけてあげましょう。

それは「水あげ」という作業です。葉や茎を含めた花全体に水を行き渡らせるための作業で、根から切り離され、体にもっているぶんしか水分のストックのない切り花では、とても大切なひと手間です。

花によって茎を割ったり、湯に茎を浸したりするなど、さまざまな方法があるなか、カスミソウの水あげはとても簡単です。それは「水切り」。文字通り、水中で茎をカットすることを言います。

手順はこんなふうにしてください。

① ボウルなどの大きな器に水を張ります。

② 水中に茎を入れ、茎先1~2cm程度をハサミでカット。

③ そのままの状態で約2分、茎先を水に浸けておけば完了です。

植物の茎の内部には、導管(どうかん)という水を運ぶパイプが通っています。茎を切りなおすことで、導管の入り口がリフレッシュ。水中でその作業を行えば、導管内に余計な空気が入らず、スムーズに花へと水が運ばれるという仕組みです。カットするハサミは、刃こぼれのない花ハサミで。せっかく水切りしても、茎の断面がつぶれてしまうと、水は入っていきにくくなります。

葉が少ないカスミソウですが、水に浸かると腐れて、水中にバクテリアが繁殖します。花もちに影響するので、水に浸かりそうな葉も、このとき取り除いておきましょう。

ドライフラワーにする場合でも、水切りをしてから乾燥させると、よりきれいな花が楽しめます。

8.カスミソウを長く、きれいに楽しむためのメンテナンス

時季にもよりますが、切り花のカスミソウは7~10日ほどと、長もちの花に分類されます。それでも、いけっぱなしでは…かわいそうですね。

茎に産毛がなく、つるつるしたカスミソウ。水が濁ることはあまりありませんが、定期的に水切りをして、茎の導管をリフレッシュしてあげましょう。もちろん、その際には器の水も入れ替えを。

そして、ぱっと見は変化がないように見えても、いけたカスミソウは着実に時を刻んでいます。ぐぐっと寄って眺めてみると、↓のように薄茶に変色した花が見つかるはず。先に開花した花から順に枯れていくんです。幸いにして、たくさんの花がつくカスミソウですからね。見つけたら、ハサミでちょんとトリミングを! 

このとき、花がついている茎のつけ根から切ると、カットしたあともきれいな状態を保ちます。

最後に、カスミソウは、繊細なタイプの草花と相性がよい花です。庭やベランダからも季節の花を切って、四季折々のパートナーを見つけてあげませんか?

撮影と構成と文・鈴木清子


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