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ガジュマルに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

ガジュマルに必要な肥料について、正しい与え方と注意点を知りましょう

丸い葉が愛らしく、インテリアグリーンとして大人気のガジュマル。沖縄では幸運を招く妖精キジムナーが宿るといわれ、多幸の木という呼び名も。ここでは、ガジュマルを立派に育てるには、どのように管理していけばよいのか、適した肥料や与え方などについて、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

1.ガジュマルを育てる前に知っておきたいこと

まずは、ガジュマルを育てるにあたって、知っておきたいことを紹介します。

ガジュマルの基本データ
学名:Ficus microcarpa
科名:クワ科 
属名:フィカス属
原産地:東南アジア、台湾、日本、インド、オーストラリア
和名:ガジュマル
英名:Chinese Banyan、Malayan Banyan
開花期:4月中旬~5月下旬
発芽適温:20℃前後
生育適温:5℃以上

日本国内では、沖縄から屋久島にかけて自生しています。手入れがしやすく、初心者でも育てやすい植物です。ある程度の寒さにも耐えられますが、5℃を下回ると葉が落ちてしまいます。園芸店などでは苗で販売されています。

ガジュマルは花が咲かないと思われがちですが、実際には春ごろ枝の先にイチジクのような小さな実がつき、そのなかに花が咲きます。ただし、外側から確認することは難しいのです。

2.ガジュマルには栄養を補うための肥料が必要です

植物が生きていくためには、光合成のための光、水、そして栄養が不可欠です。自然のなかで自生しているガジュマルには誰も肥料を与えていませんが、それでも生きていけるのは、土の中で微生物などにより必要な栄養が循環しているからです。一方、家庭で植物を育てる場合、特に鉢植えやプランターでは、植物の種類に応じて肥料を与える必要があります。適正な施肥は、株を元気で健康に育てることに繋がるのです。

3.種類を知ることが、適した肥料選びの近道

肥料は、原料となるものや形態により、複数の種類にわかれています。

まず、原料が自然由来か否かで、有機質肥料と無機質肥料に分けられます。そして効き方により、緩効性肥料、遅効性肥料、即効性肥料に分かれます。形状は個体肥料と液体肥料の2種類。それぞれどのようなものなのかを見ていきましょう。

原料による分類

有機質肥料
草木や鶏、牛の糞、油粕や魚の骨粉などを発酵させ、乾燥や消毒をして用いるのが有機質肥料です。肥料に含まれる有機物が土壌の微生物の栄養になるので、バランスよく栄養を含んだ力強い土に育てることができます。

無機質肥料
無機質肥料の原料になるのは、いろいろな鉱物です。また、化学合成によって作られる化成肥料も、無機質肥料のひとつです。無機質肥料には、育てる植物に合わせて成分の割合を調整できるというメリットがあります。

効き方による分類

緩効性肥料
効果はゆっくりで、かつ長続きするように作られた肥料です。水に溶けにくい成分を使ったものや、コーティングをして、すぐに溶け出さないように加工したものなどがあります。

遅効性肥料
植物に与えてから効果が出るまで、ある程度の時間がかかる肥料です。植物が吸収するために微生物の力を借りる必要がある有機質肥料は、これに当たります。

即効性肥料
文字どおり、与えてすぐに効果を発揮してくれる肥料です。水溶性成分を多く含み、粒度が細かい肥料ほど、即効性は高くなります。

形状による分類

個体肥料
固形だけでなく、粉状や粒状の肥料もここに分類されます。有機質、無機質の両タイプがあり、効果は比較的長く続きます。

液体肥料
水で数百倍~数千倍に希釈するものや、容器を土に指してストレートのまま使用するタイプがあります。即効性はありますが、効果はそれほど長続きしません。

植物に必要な、肥料の三大要素

植物の成長に必要な「チッソ・リン酸、カリ」の3つの成分は、肥料の三大要素と呼ばれます。それぞれには、次のような効果があります。

N:窒素(nitrogenous) 一般的に「チッ素」と呼ばれています。葉肥(はごえ)ともいい、植物のなかのタンパク質を作り、葉や茎などの成長を促す作用があります。また、葉緑素を構成する素材のひとつです。

P:リン酸(phosphate) 一般的に「リン」あるいは「リン酸」と呼ばれます。実肥(みごえ)ともいい、花や実をつけるためには欠かせない要素です。リン酸が不足すると、開花や熟成の遅延を招き、実の収穫量自体も少なくなります。

K:カリウム(kalium) 一般的に「カリ」と呼ばれています。塩化カリウムや硫酸カリウムが主成分の、カリ塩を指します。根肥(ねごえ)ともいわれ、根や球根の生育には不可欠な要素です。植物の細胞内ではカリウムイオンとして常に移動しており、病害虫や寒さへの抵抗力をつけるのにも役立ちます。

N-P-K以外に必要な要素は?

チッ素(N)、リン酸(P)、カリ(K)は植物が生育するなかで、大量に必要となる要素です。しかし、健康に育てるには、そのほかにも必要な要素があります。カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg・苦土)、イオウ(S)などの中量必須要素について紹介しましょう。

カルシウム 石灰などに含まれる要素で、土壌の酸度を調整するのに用います。植物に対しては、細胞膜を丈夫にして病害虫への抵抗力を高めると共に、根の発育を促す働きをします。また、植物の体内にできる、過剰な老廃物を中和する作用があります。

マグネシウム 金属元素のマグネシウムは、肥料では苦土(くど)と呼ばれています。光合成に必要な葉緑素の重要な構成成分であり、リン酸の働きを補助する役目もあります。

イオウ 植物体のタンパク質を構成する成分のひとです。通常は土壌に十分含まれていますが、一旦欠乏すると葉の色が黄色くなり、生育不良に陥ります。

ほか、微量必須要素に、亜鉛(Zn)、塩素(Cl)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)などがあります。これらの微量要素が不足すると、葉の黄変や褐変、湾曲や変形などを起こし、生育不良となります。

4.こんなタイプの肥料が、ガジュマルにおすすめ

ここからは、ガジュマルにどのような肥料がおすすめなのかを見ていきましょう。

実際のところ、ガジュマルは肥料がなくてもしっかりと育ってくれる嬉しい植物です。肥料切れによって枯れてしまうということは、ガジュマルではほとんどありません。とはいえ、施肥をしたほうが成長は早くなります。

ガジュマルの肥料としておすすめなのは、観葉植物用に販売されている錠剤タイプか、緩効性の化成肥料です。その際、三大要素が同じ位の割合になっているものを選びましょう。全く同じ割合でなくても、極端な差がなければ問題ありません。

観葉植物用の肥料であれば、ほとんどが、NPK=10:8:8の割合になっているので、安心して使用することができます。

5.肥料を与えはじめる、時期とタイミング

植物への施肥には、植えつけ前や植え替えなどの定植時に与える元肥と、生育時に不足分を補う追肥の2種類があります。

日本でガジュマルを育てる場合、鉢植えにすることが多いでしょう。植えつけや植え替えの際に、観葉植物用の培養土を使用する場合は、元肥を与える必要がありません。肥料が加えられていない土を利用する場合のみ、元肥を施します。

比較的気温が高い地域で、ガジュマルを地植えにする場合は、植え込み場所の土に元肥を入れてから定植するようにしましょう。

追肥は、ガジュマルの成長具合を見ながら行います。元々生命力が強い植物なので、肥料不足よりも肥料過多にならないように注意することが大切です。

「元肥」の適期

ガジュマルに元肥を与えるタイミングは、株の植えつけや植え替えの時です。時期的には、植え替え作業ができる5月上旬~7月上旬がベストです。使用する肥料は、ゆっくりと効いてくれる緩効性肥料がおすすめです。

「追肥」の適期

元肥が施してあるガジュマルに追肥をする場合は、肥料の効果が切れるのを待ってから施肥するようにしましょう。元肥を与えてから、2~3か月見れば十分です。ただし、酷暑期間は避けましょう。

鉢植えの場合は、観葉植物用として販売されている、錠剤タイプのものを置き肥として与えるのがいちばん簡単な方法です。

地植えのガジュマルの場合には、緩効性肥料を根元から少し離れた場所に追肥として与えます。この際、化成肥料を使用すれば、ハエなどの発生を防止することができます。

元来、あまり肥料を必要としないガジュマルですが、生育期に施肥することで根張りの強化や新芽の増加に効果があります。

6.ガジュマルへの肥料の与え方が知りたい

実際にガジュマルを育てる過程での肥料の与え方を見てみましょう。元肥から追肥まで、鉢植えと地植えそれぞれの場合を、順を追って説明していきます。

鉢植えの場合の手順

植えつけ時に、観葉植物用の培養土を使用すれば、元肥を施す必要はありません。用土をブレンドした場合は、鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷いたあと、土、緩効性肥料、土、の順に入れます。ガジュマルの根が肥料に、直接触れないようにしましょう。

植えつけから2~3か月すると、元肥の効果が切れてくるので、観葉植物用の錠剤肥料を鉢の縁側に置き肥します。水やりのたびに少しずつ土の中に吸収されていくので、次の追肥をするのは置き肥が完全になくなってからです。また、肥料を与えるのは、4~9月の生育期(酷暑期間は施肥をさせる)だけで、冬場は与えません。

地植えの場合の手順

元肥には、緩効性の化成肥料を用意しておきます。ガジュマルを定植する場所を決めたら、植穴を掘って元肥を施し、上に土を被せてから株を植えてください。こうすることで、根が肥料に直に触れることを防ぐことができます。

与える量は、株をある程度大きく育てたい場合は使用する肥料の規定量に従いましょう。あまり大きく育てたくない場合は、規定量の半分の肥料で十分です。地植えの場合、元肥をしっかりと効かせておけば、あまり追肥は必要ありません。株を大きくしたいなどの目的がある場合は、元肥を与えてから2~3か月待ち、枝の先端下あたりの地面を10㎝ほど掘って、肥料を埋め入れましょう。鉢植えと同じく、肥料を与えられるのは生育期の間のみ。追肥はいちどで十分です。

7.ガジュマルに肥料を与えるときの注意点は?

ガジュマルに肥料を与える時の注意点は、「あげすぎない」ことと、「根に直接触れさせない」ことです。

肥料が多すぎると枝葉が伸びすぎて、せっかくの樹形が崩れてしまいます。また、肥料過多が続くと肥料やけを起こし、ガジュマルの根を傷めてしまう可能性があります。根に肥料を直接触れさせないのも、肥料やけを防ぐためです。

肥料をあげすぎると「肥料やけ」が起きます

肥料やけは、わかりやすくいうなら人間の食あたりに似ています。やっかいなのは、そのまま放置すると、やがてガジュマル自体が枯れてしまうという点です。

通常、土壌の肥料と根の細胞濃度は、細胞濃度の方が高い状態でバランスが保たれています。しかし、肥料の与えすぎで土壌濃度の方が高くなってしまうと、根は栄養分を吸収できなくなるばかりか、中和のために水分を奪われて萎れてしまいます。思うように水分も栄養も吸収できなくなった株は、どんどんと弱っていってしまうのです。

肥料やけは鉢植えで起きやすく、葉の色がどんどんと濃くなっていき、やがて黒ずんで端の方から萎れて枯れていきます。

肥料やけを起こしてしまったら、すぐに鉢から抜いて傷んだ根を取り除きましょう。その後は根を水でよく洗い流し、肥料成分が一切含まれていない新しい用土で植え替えてください。

ガジュマルは全く肥料を与えなくても育つので、与えすぎを心配するよりも、少し足りないくらいで管理するのが丁度よいかもしれません。

文・ランサーズ

監修矢澤秀成

園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長


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