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ユリのおしゃれなアレンジ・飾り方、アイデアまとめ15選

記事 2019/08/16
ユリのおしゃれなアレンジ・飾り方、アイデアまとめ15選

ユリの季節がやってきました! 1年中出回っている花ですから、夏が旬だなんて、驚きかもしれませんね。カサブランカなど、おなじみのユリだけでなく、この時季にしか咲かない原種のユリとも出合えます。夏の光を浴びてキラキラと輝きを増し、甘い香りをふりまいて咲き誇るユリの魅力をたっぷりと味わいませんか。花色も豊富で、いろいろな表情を見せてくれるユリの素敵な飾り方を、東京・文京区にある花店『フィールド』の斉藤理香さんと、フラワーアーティストとして活躍する石澤佳子さんに提案していただきます。

知っておきたい! ユリのこと

野に咲くユリを見たことはありますか。とっても風情豊かなんですよ。じつは、切り花のユリのルーツを探ると、ほとんどが日本の野のユリにたどり着くといってもいいほど。まだ日本各地にのどかな里山があった昭和の中ごろまで、関東や東北の丘陵地にはヤマユリが、西日本の野山にはササユリが咲き、夏の野を彩っていたといいます。

世界にはおよそ100種のユリの原種があるとされ、アジア産は約60種、そのうち約15種が日本に自生しています。日本はユリの宝庫なのです。古くは『古事記』『日本書記』にも登場し、園芸が大流行した江戸時代には、園芸品種のスカシユリが、なんと百数十種も誕生したとか。江戸庶民の園芸熱がうかがい知れますよね。

そんな江戸時代末期、ジャポニズムブーム真っ盛りのヨーロッパでも「日本のユリは際立って美しい」と評判だったそう。そして、早くも外国人商館によってユリの球根貿易がスタート。横浜港から日本に自生するユリの球根が輸出されましたが、その代表はヤマユリでした。

ヤマユリ。1862年ロンドンフラワーショーに登場し、人々を魅了。白い花びらに黄色い筋と赤い斑点が特徴の大輪は美しく、香りは強い。

明治時代になると、日本人による貿易会社が誕生。ユリを描いた海外向けのカタログまで制作し、種類豊富な日本のユリを紹介していました。明治の末、輸出球根の筆頭は、ヤマユリからテッポウユリに世代交代したそう。さらに輸出量のピークを迎えた1937年には、全種類で4千万球以上を輸出していたとか。世界のユリ需要の約9割を日本が占めたというのですから、驚嘆です。「ユリで軍艦を造った」といわれたほど、日本の経済、国力に影響を及ぼす存在になっていたようです。

テッポウユリ。原産地は奄美、沖縄諸島。花の形がトランペットのようで、上品な香りがあります。欧米では、イースターの花として活躍。

日本や中国の原種を使った育種が始まったのは、19世紀後半の欧米。ヤマユリとカノコユリを交配した、オリエンタルハイブリッド第1号の誕生が発表されたのは、1864年のことでした。交配は近縁種同士でなければ難しいなど、難題はありましたが、ひとつずつ克服し、今でもオランダや日本、アメリカ、ニュージーランドなどで品種改良は進められています。その結果、1970年代後半にカサブランカが誕生し、大人気に。以来、カサブランカは流通量、価格ともにトップを保っています。

カサブランカ。洋花のイメージをもつ、ゴージャスで気品ある姿が世代を超えて愛されています。

最近では、クリアな黄色やオレンジ、シックな色、複色、八重咲きなど、ユリの品種は、ますます多彩になっています。1本あるだけで、部屋がパアッと明るくなるので、ぜひお試しを。

八重咲きのイザベラ。ひと重咲きよりゆっくり開花し、長く楽しめます。

ユリの歴史を駆け足で紹介しましたが、交配が進んでも夏にしか出合えない原種もあります。たとえば、ササユリやオトメユリ。淡いピンクがなんとも可憐で、愛らしい品種です。カサブランカなどのゴージャス系とは、趣の違う花。もし出合ったら、迷わず飾ってみてください。

オトメユリ。横を向いて咲く可憐な姿で、ほのかな香りを放ちます「。山形、福島、新潟に自生。別名ヒメサユリ。

最後にひとつだけ。飾るときは、花粉に気をつけましょう。花店では、咲いたユリの花粉は取ってありますが、家でつぼみが開き始めたら、指でつまんで取り除いてください。洋服などに花粉がつくと、取れなくなります。もしついたら、慌てず粘着テープで叩くようにして取るとよいでしょう。こすると、かえって花粉が広がるので気をつけて。

花粉は指でつまんで取り除きます。つぼみが開き始めたら早めにするとよいでしょう。

それでは、旬を迎えたユリの美しさを、たっぷりとアレンジで堪能しましょう。

ユリを、素敵に飾りたい!

ユリの花姿を生かした、アイデア光るアレンジ

ひと口にユリといっても、花の大きさや咲き姿は違うんです。そんな個性豊かなユリの魅力を素直に生かして、アレンジを楽しみましょう。白くて気品溢れる、テッポウユリ。艶やかなピンクの八重咲きのユリ。そして、鮮やかな黄色が美しい、小輪のユリ。奥深いユリの魅力に酔いしれて!

シルバーリーフが引き立てる、白花の艶めき

花材:ユリ(テッポウユリ)、グミ、ダスティミラー、ハートカズラ 花・石澤佳子 撮影・中野博安

ねえ、テッポウユリの花びらって、パールのように艶めいて見えない? 気品漂うユリを、そっとやさしくエスコートするのは、柔らかな手触りのシルバーリーフ、ダスティミラーです。ハートの形をした蔓性のハートカズラも、小気味よいアクセント。金色のプリントリボンでキュッと結んで仕上げれば、大切な人への心を込めた贈りものにぴったりです。

ゴージャスな八重咲きユリを小花で愛らしく

花材:ユリ(イザベラ)、サクラコマチ、サイネリア、アスチルベ、ボタンイチゲ、ドラセナ 花・斉藤理香 撮影・落合里美

ピンクと白の複色が艶やかな八重咲きのユリ。1本に数輪つく花は、上に行くほど淡く小ぶりになり、グラデーションが楽しめます。大輪ながらも、その繊細な表情に合わせて、サクラコマチやサイネリアのような淡いピンクの小花をたっぷりと。美しく仕上げるコツは、ユリと小花のボリュームを揃えることです。どうですか、この愛らしさ? 新鮮でしょう。

清らかな星の奇跡を描く、黄金色の花束

花材:ユリ(イエローココット)、ベアグラス、グリーンネックレス 花・石澤佳子 撮影・中野博安

クリアな黄色の小輪ユリだから、キュッと集めてミニ花束に。夜空にまたたく、星のようなきらめきに見えませんか。高低差のある3つのガラスの器に挿せば、流れ行く星の奇跡のよう。シュッと伸びたベアグラスが、まるで星の尾のようで、勢いを感じます。しずくのようなグリーンネックレスも軽やかで楽しそう。窓辺の光にかざせば、いっそう輝きを放ちます。

花色豊富なユリだから、色合わせで楽しむ

ユリって、1本だけでも絵になるし、気品があるから野の花風の草花とは似合わないって、決めつけていませんか? ところが、とても懐の深い花だから、ドン!と飛び込んでみて。繊細な花ともよく似合うし、いろいろな色合わせで、さまざまな表情を見せてくれるのです。パステルカラー、同系色、反対色という3つの色合わせを紹介しましょう。

パステルカラーでキャンディみたいに甘く包んで

花材:ユリ(テルモリ、パーティダイヤモンド、センターフォールド)、デルフィニウム、ヘリクリサムなど 花・斉藤理香 撮影・中野博安

スイートに決めるなら、ユリの色合わせが肝心。やさしいピンクのテルモリ、ピンクを刷毛で塗ったような淡い色合いのパーティダイヤモンド、そして、白地に花火のような赤い斑が入った個性的なセンターフォールド。甘辛ミックスで3種揃えます。ユリは大ぶりでシャープな花形だからこそ、デルフィニウムやラクスパーなどの小花をたっぷり足すことで、ふんわり甘く仕上がるのです。

色のコントラストで描き出す、艶めくユリの共演

花材:ユリ(アスカ、ランディーニ)、ブラックリーフ、アスチルベ 花・斉藤理香 撮影・中野博安

キリリと美しく。端正なユリのあしらいに、ドキリとしませんか。優雅にピンクの花びらを重ねる八重咲きのアスカに、ピリリと効かせた魅惑的な赤紫色のユリ、ランディーニ。同系色の組み合わせでも、明るいピンクと、ダークな濃赤を合わせたら…こんなに格好よく決まるのです。色の力を信じて、思いっきり同系色で遊んでみるのも、楽しいですよ。

この透明感にうっとり。ユリの気品が香ります

花材:ユリ(バルベルデ)、パンジー、スイートピー、ルピナス、アジアンタム 花・斉藤理香 撮影・落合里美

光に透けて輝くアプリコット色のユリ。その存在感を受け止め、引き立てるのが、紫色の小花です。パンチの効いた反対色をぶつけるのは勇気のいること。ならば、パンジーやスイートピーなど身近な花を選んで、気軽にチャレンジしてみましょう。気負わずユリの前後に挿せば、ほら、気品が溢れ出してきませんか。さらに、アジアンタムを添えれば、軽快さが加わります。

パートナーには主役級の花を迎えて華やかに

圧倒的な存在感を放つユリ。どんな花合わせで、魅力を引き出そうか…悩ましいですよね。ならば、あえて主役級の花をサブ花材に選んでみてはどう? 主役級同士の組み合わせは、ゴージャスだから、大切な人をもてなすときなど、特別な日にお似合いです。ただし、ユリがシャープなので、柔らかい印象の花がおすすめです。

凛と咲く白ユリに、シックなキクでニュアンスを添える

花材:ユリ(クーリエ)、キク、ビバーナム、クレマチス 花・斉藤理香 撮影・中野博安

白ユリに、アンティークのような雰囲気をもつ、茶系のキクを合わせると…、あら不思議、温もりと洗練された空気をまとい始めました。華やかなのに、威圧感のない心地よさです。爽やかなビバーナムが、すがすがしい風を運んできてくれそう。主役のユリは、少し高く挿し、大らかにいけましょう。ぴょんと飛び出したベル形のクレマチスがアレンジに躍動感を添えています。

白い頬に紅を差すような、初々しさから目が離せない

花材:ユリ(トライアンフェター、ディアボロ)、バラ、カーネーションなど 花・石澤佳子 撮影・中野博安

白とピンクの2色咲きのテッポウユリ、トライアンフェターの表情は、かなり個性的。このツートンカラーを生かすべく、ユリよりも低くあしらったアジサイやカーネーションなどは、ユリの中央部分と同じ、ピンクで揃えたのが、素敵ポイントです。ユリの白い縁取りを挟んで、色をリフレインさせることで、自然とユリの美しさが際立って。まさに色のマジックです。

清涼感溢れるレモンイエローのデザート風アレンジ

花材:ユリ(コンカドール、ロイヤルトリニティ)、バラ、カーネーション、トルコギキョウ、モカラ 花・石澤佳子 撮影/中野博安

香りのよい、大輪の黄色いユリ、コンカドール。すがすがしい雰囲気は、ひんやり冷たいレモンシャーベットのよう。透明なグラスに挿して、夏を涼やかに彩りましょう。ユリのすき間からちらちら見えるのは、カーネーションやトルコギキョウたち。柔らかな花びらをたっぷり抱えた花との対比で、ユリを引き立てています。白いレースでユリの茎元を隠し、いっそうエレガント。

遊び心で見せる、黒や赤、オレンジの個性色

ユリにもこんなに、エキゾティックでスリリングな色があるんですよ。黒や赤、レンガ色のユリを主役に取り入れるだけで、もうインパクト大です。黒いユリはクロユリといって、バイモ属。ユリ属ではありませんが、同じユリの仲間で、魅力的でしょう。こっくりとした色合いは、秋に熟した果実のようにも見えて…。ひと足早く、甘い香りとともに豊潤な秋を感じてください。

落ち着きと華やかさ。二面性をもつ八重咲きユリが新鮮!

花材:ユリ(カクテルツインズ、クロユリ)、コチョウランなど 花・斉藤理香 撮影・中野博安

ニュアンスのあるレンガ色の花びらを重ねるユリの名は、カクテルツインズ。渋い色合いなのに、八重咲きの華やかさをもつ、不思議な1輪です。ならば、両方の魅力を楽しみましょう。カクテルツインズを中央に配し、シックなクロユリと、爽やかな黄緑色のランで周りを囲んでみました。ひと言では表せない、妖艶でピュアな雰囲気を感じるアレンジに見えませんか。

残照に映える、野に咲く花々の美しさと逞しさを表現

花材:ユリ(オレンジアート、ポップアート)、ヒマワリ、ハーブゼラニウム、フォーミアム 花・斉藤理香 撮影・中野博安

花びらに、そばかすみたいな黒い斑点が入る魅惑的なユリ。オレンジ色の花びらがオレンジアートで、赤い花びらがポップアートです。こんなに刺激的な花色だからこそ、身近な花をセレクトすると引き立つのです。夏の象徴、ヒマワリと合わせれば、夕日に照り映える、高原の花畑のよう。花顔がよく見えるよう、手前を低くし、奥を高くすれば、傾斜地に生える風景を連想します。

アジアの熱い風を感じ、艶やかにあしらう

花材:ユリ(オリーナ、ディメンション、ポデュース)、バラ、カンパニュラなど 花・斉藤理香 撮影・中野博安

黒い斑点をもつオレンジ色のユリ、オリーナと、黒みかがった赤のディメンション。さらに、こっくりとしたバラを重ね、シックで深みのある色合わせを楽しみましょう。とはいえ、それだけでは重たい印象に。ピンクのユリ、ポデュースをちらりと効かせ、紫色の小花、カンパニュラも長く挿して軽やかに。このさじ加減が絶妙で、異国情緒漂うアレンジに仕上がりました。黒いカゴも雰囲気にぴったりです。

余韻を感じるアレンジで、もっと自由に!

ユリを飾るとき、器選びから始めてみると、新しいユリの魅力に出合えるかもしれません。和風の器にはどんなユリが似合うかな…とか、器がなければリーフを使って手作りしてみようとか。発想を自由に広げると、アレンジする過程もぐっと楽しくなります。もちろん、飾った後は、家族や友人たちに自慢してもいいですね。

木漏れ日の庭で軽やかに踊る、小さなユリに魅かれて

花材:ユリ(バイモ)、スパラキシス、タイツリソウ、リキュウソウ 花・斉藤理香 撮影・中野博安

うつむき加減に咲く、可憐な花は、バイモ。茶花に好まれるユリなので、和風の趣あるあしらいに仕立てました。イメージしたのは、木漏れ日が差す庭の足元。よく見ると、愛らしい小花がそれぞれ楽しそうに咲き誇っています。ハート形のピンクの花はタイツリソウ。たくさんぶら下がっている姿が、なんともユーモラスです。遊び心ある花合わせをすると、楽しみが増えますね。

タイサンボクの葉に抱かれて開く、巨大輪の華やぎ

花材:ユリ(ロビーナ)、タイサンボク 花・石澤佳子 撮影・中野博安

ユリのなかでも香りが強く、巨大輪のロビーナ。ゴージャスな魅力を受けとめているのは、タイサンボクの葉。大きな木の葉で作った器に迎え入れると、キリリとすがすがしく美しい表情を見せてくれました。ユリの茎を隠すことで、大きく波打つ花びらの華やかさ、ニュアンスある花色のきれいが強調されます。つぼみもあえて加えることで、スッとした伸びやかさも加わりました。

情熱的なユリを、野性味溢れるリースに仕立てて

花材:ユリ(ブラックアウト)、バラ、アルストロメリア、フリチラリアなど 花・石澤佳子 撮影・中野博安

赤い花びらの中に漆黒を含むユリ、ブラックアウトはとても情熱的。旺盛に茂る藪のなかで見るような蔓や花と一緒に、絡みつくように編み込んで艶めくリースに。真っ先に目に飛び込むのは、パアッと開いた妖艶なユリ。けれど、よく見て。満開からつぼみまで、いろんな咲き姿をふんだんに取り込んでいるからこそ、こんなにも野性味溢れて美しいリースになっているのです。

花・斉藤理香、石澤佳子 撮影・中野博安、落合里美 構成と文・山本裕美


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