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クレマチスのおしゃれな生け方・飾り方。 フラワーアレンジで長もちさせるコツ

クレマチスのおしゃれな生け方・飾り方。 フラワーアレンジで長もちさせるコツ

「蔓性植物の女王」とたたえられるクレマチス。初夏、バラとともに庭を優雅に彩り、アレンジでも、咲き方の多彩さとやさしげな風情が好まれ、年々、人気が高まっています。切り花としては、種類にもよりますが4月から10月と長く出回るものの、最盛期は5月から7月。ここでは、基本的な水あげの仕方やおしゃれな飾り方など、クレマチスの“いろは”を、東京・牛込柳町の花店『しろくま生花店』の細根誠さんから教えてもらいました。憧れのクレマチスが、もっと身近になること請け合いです!

1.クレマチスは大別すると、3つのタイプがあります

早咲き大輪系やフロリダ系大輪などと、切り花のクレマチスは、おもに7種の系統の花が流通しています。けれど、それではなかなか覚えづらいもの。大きく分けて、ひと重咲きと八重咲き、そして「ベルテッセン」という通り名で呼ばれる、小さなベル形、この3のタイプを、まずは覚えておきましょう。

ひと重咲き

マルチ・ブルー(早咲き大輪系)

ロコ・コラ(遅咲き大輪系)

八重咲き

ベル・オブ・ウォッキング(早咲き大輪系八重)

ジョセフィーヌ(早咲き大輪系八重)

ベル形タイプ

篭口(ロウグチ・テキセンシス系)

エトワール・ローズ(ヴィチセラ系)

2.クレマチスを美しく飾るために、準備したいこと

花径10~15㎝ほどの大輪から指先ほどのベル形まで、サイズや様子はずいぶん異なりますが、どのタイプのクレマチスでも、いける前の下準備は同じです。

クレマチスが長もちするための準備「水切り」

クレマチスの切り花に昔から慣れ親しんでいると、水が下がりやすい花というイメージをもっている方もいそうです。しかし、最近のクレマチスは、とても優秀! 水中で茎を切る「水切り」だけでもよく水があがります。

水切りとは、名前のとおり、水の中で茎をカットすることです。植物の茎には、水の通り道である導管があります。水の中で茎を切ると、この導管内に空気が入らないため、水がスムーズに通るのです。つまり、茎先から入った水が、花までしっかり上がる、というわけです。水切りはまた、切り口の乾燥を防ぐことができます。

水切りの方法は簡単です。大きめのボウルや器に水をたっぷり入れます。その中に茎を入れて、ハサミで茎先を斜めにカットするだけ。カットする分量は、自分がいけたい長さによりますが、最低でも1~2㎝は切りましょう。このとき、切ってすぐ茎を水からあげないことがポイントです。短くても5分、できればそのまま1時間以上、茎を水につけておくと、水圧でより水が上がります。

これで全体に水が行き渡り、張りのある花姿で、私たちを楽しませてくれます。このとき、不要な葉を取り除くと、花により多くの水を行き渡らせることができます。

もっとしっかり花に水を送りたいときは「根元叩き」

水切りだけでは、しおれてしまわないかと心配なとき、花の水が下がってしまっているときは、これから紹介する方法を試してみてください。

蔓ものの基本的な水あげ方法は「根元叩き」。文字通り、茎の根元を叩くやり方です。

クレマチスのほかに用意するものは…
・金槌もしくは花切りバサミ
・厚い木の板もしくはレンガ
・新聞紙
・バケツなどの深い容器

根元叩きで必要な道具は金槌と、台にする厚い木の板やレンガ。けれど、金槌なんて持っていない人も多そうですね。あったとしてもわざわざ引っ張り出すのも面倒。花バサミで代用できます。また、木の板もレンガもないなら、ベランダでやってもOKです。テーブルの上で直接、叩いたら、テーブルがへこんでしまうのでご注意を。

やり方は、簡単です。必要な長さに茎をカットして、不要な葉を取り除いたら、台の上で、根元の先をゴンゴンと叩きます。ハサミを使う場合は、逆さに持って柄で叩きます。このとき、茎が動かないよう、あいた手でしっかり押さえておきましょう。

繊維がほぐれ、こんなふうに箒のように細く割けたらストップ。こんなにボロボロで水があがるのか心配ですか? ご安心を。クレマチスの茎の中に通っている吸水の管「導管」は、力いっぱい叩いても傷むことはなく、むしろ、導管が露出するので、吸水効果が高まるんです。

叩く範囲は切り口から、3㎝くらいまで。

叩いて箒状になったら、花や葉が隠れるように新聞紙でくるみ、深く張った水で1時間以上、休ませます。これを「深水(ふかみず)」といいます。

上の写真をもういちど、ご覧ください。深水の水位に関しては、花の下まで深くという方法もありますが、写真では新聞紙が水に触れていませんよね。包む位置を高くして、新聞紙が直接、水につかないようにするのが『しろくま生花店』流の深水。コーティングされていない新聞紙は空気を通します。濡れていない状態なら、葉から蒸散した水分を適度に外へ逃がすことができるそう。保護をしながら、蒸れも防止というわけです。

新聞紙ごと水に浸けて保湿パック効果を狙うか、浸けずに蒸れ防止を優先させるか。花びらの薄さやコンディションなどに合わせて、使い分けてもよいかもしれませんね。

3.クレマチスを飾るときに、必要なアイテムってあるの?

花をいけるとき、多くの人は「花瓶がないとダメ!」と思うようです。花束をいただいたのはいいけれど、花瓶がなくて困った、という話もよく聞きます。実際は、“水が漏れない器”さえあれば、花瓶がなくても花はいけられるのです。たとえば、どの家のキッチンにもあるガラスのコップ。これと花を切るハサミさえあれば、花を飾ることができます。

ハサミだけは必ず、花切りバサミを用意してください。普通のハサミで花の茎を切ると、水の通り道である“導管”がつぶれてしまう可能性が大だからです。こうした理由から、花の茎をつぶさずにカットできるよう工夫された、花切りバサミが必要になります。花切りバサミを使っても、切れ味が悪かったり汚れていたりしたのでは、花のもちが悪くなるので注意しましょう。花切りバサミは使うたびに洗って汚れを落とし、しっかり水分を拭いておきます。

4.クレマチスを飾るときの注意点は、扱い方です

クレマチスの花びらは、とても繊細です。ひと重咲きや八重咲きの花びらはとても薄く、しっかりしていそうなベル形も、じつは振動や少し触れただけで、ぱらりと花弁が取れてしまいます。せっかく買ったお気に入りのクレマチスなのですから、デリケートに扱いましょう。

クレマチスを花器などに挿すときは、花の部分にはノータッチ! 茎を持って挿してください。写真は、花びらが落ちたので、分解した様子です。可憐なベル形の花びらは、意外に厚いんですね。チークブラシみたいに束になって、中に抱えていた雄しべも、こんなに多数。

また、クレマチスの茎はしっかりしていますが、細いので長く伸ばしていける際は、折れないように注意が必要です。

ほかに、クレマチスをできるだけ長く楽しむためには、飾る場所もポイント。
・直射日光、照明が直接当たらないところ
・エアコンの風が直接当たらないところ
・電化製品がそばにないこと
・風通しのよい場所

これらが、花の居場所としてはベター。直射日光やエアコンの風が当たると、クレマチスは花びらから水分を奪われ、しおれの原因に。花にやさしい場所を選んでください。

5.少量のクレマチスが素敵になる飾り方のコツ

クレマチスの季節を存分に楽しむために、ここでは基本的なハウツーを紹介します。

葉を生かしていける

葉の美しさもクレマチスの魅力です。なかでもベル形タイプの葉は、こんなにもかわいらしく、爽やかな緑色。ふわりと軽やかに踊るラインも素敵ですね。わずか2本の花でも、葉をつけたままいけると、ほかには何もいらないくらい、自然な雰囲気で楽しめます。前述したように、花により多くの水が届くように、生かしたい葉だけを残して飾りましょう。

ワイングラスにいける

日常の食器にも、クレマチスにぴったりな器があります。それはステムの長いワイングラス。高くいけられるため、うつむきがちな花顔をしっかりと愛でてあげられます。食卓やちょっとした棚に飾ってみませんか? 大輪のクレマチスにも似合う優雅な飾り方です。

足元を固めてからいける

間口の広い器にいけるとき、クレマチスの茎は細く、つるつるしているため、いけにくいことがあります。ほかの花材を最初にいけると、それが花留め代わりになります。草花や葉もの、この写真ではミニトマトを活用。吸水性スポンジがなくても、花の高さや向きの調節がラクにできますよ! ミニトマトを使ったアレンジは、このあとで紹介します。

6.手軽に気軽にフラワーアレンジメント。クレマチスの飾り方アイデア

旬の間、何度も飾って楽しみたいクレマチス。ときには、いつもとは違う方法でアレンジしてみたいものです。そこで、人気のベル形タイプで6つのアイデアを提案。キュートに、優雅に、家の中を彩ります。

その1 タブレットの缶でキュートアレンジ

花材:クレマチス3種、ロータスなど 撮影・中野博安

小さな缶に吸水性スポンジを詰めて、アレンジするアイデアです。蓋の間から蔓を伸ばしてあしらうと、転がり出たドロップ? お菓子の缶ならパケージのデザインでも遊べます。蓋が閉まらないよう、内側につっかえ棒を。

その2 採れたて野菜のつもりでバスケットに

花材:クレマチス5種、プチトマト、クレマチスシードなど 撮影・中野博安

いろいろな色のプチトマトと合わせてバスケットに入れてみませんか? 可憐なクレマチスも、採れたて野菜みたいに生き生きと元気いっぱいに。かごの片側に、落とし(コップなどの水を入れられる容器)か吸水性スポンジをセットして、クレマチスをアレンジします。

その3 クレマチスのひんやりデザート風

花材:クレマチス、房スグリ、プチトマト、グリーンスケール

プチトマトをパートナーにする別バージョンです。ぎっしりと詰めたトマトは花留めも兼用。透明なソルベグラスを器にすれば、クレマチスが涼しげに楽しめます。色づく前の房スグリで、きらきらとした輝きを添えました。

その4 皿に絵を描くディッシュアレンジ

花材:クレマチス3種、アジサイ、カリオプテス ダークナイト、アジアンタムなど

旬のアジサイと描いたのは三日月形のアレンジ。花の小さなベル形タイプを長くあしらい、弓なりのラインにします。なるべく大きなプレートを用意したら、片側に吸水性スポンジをセット。お皿に水を張って、水辺に映る花影を楽しんでも素敵ですね。

その5 小さな“ベル”が戯れるテーブルリース

花材:クレマチス7種、ロータス、ナズナ 撮影・中野博安

ベル形のクレマチス、ベルテッセンは、つぼみも葉も、そして蔓もすべて絵になる繊細さです。多色で用意したら、花の向きをさまざまにしてリースベースに挿してみましょう。花と葉、つぼみがいく重にも折り重なり、のぞき込みたくなるような小さな野原が生まれます。リースベースがなかったら、小さなグラスを丸く配置してアレンジしてもOK。

その6 ハンギングで、枝垂れる優雅さを楽しむ

花材:クレマチス、キョウカノコ、グリーンベル、クレマチスシードなど

ときには、吊るして飾ってみませんか? 茎を長くして挿すと、たおやかに舞うかのような美しさ。高く吊るすと、うつむいている花の顔もじっくりと眺められます。ここでは受け皿つきの吸水性スポンジに挿し、麻紐で吊るしていますが、空き瓶なら気軽に挑戦できます。吊るして飾るので、軽やかな草花をパートナーに。

7.飾ったクレマチスを少しでも長く楽しむために

丁寧に下処理をして、きれいに飾ったクレマチスは、少しでも長く眺めていたいですね。そのためには、毎日のお手入れが大切です。クレマチスが旬を迎える初夏は、何日も、花をいけたままにしておくと、水中にバクテリアが発生します。花の寿命を縮めるバクテリアの繁殖を防ぐために行いたいのが、水替えと切り戻しです。

器の中の水を入れ替える作業「水替え」

水替えとは、花をいけたあと、器の水を入れ替えることです。いけた水は、見た目には変わらなくても、汚れているもの。毎日するのは難しくても、2日にいちどは、器の中の水をきれいな水に替えましょう。その際、茎も丁寧に洗い、ヌメリを取るのがベター。また、器の中を、食器用の中性洗剤で洗浄すると、バクテリアの発生がぐっと抑えられます。器を洗うときは、汚れが溜まりやすい底まで丁寧に。口が狭く、手が入らない器も、コップや水筒用の柄つきスポンジを使えば、隅々までキュキュッと洗うことができます。

「切り戻し」で茎を切り直し、吸水しやすく

花をいけたあと、茎や枝の切り口を新しく切り直すことを、切り戻しといいます。水替え時に、茎のヌメリを洗ってから行ってください。茎を新たにカットすることで、導管の入り口が新しくなり、また吸水しやすくなります。

いずれのときも、花に触れないように、丁寧に。
では、クレマチスの日々を満喫いたしましょう!

撮影・中野博安、鈴木清子 構成と文・鈴木清子

Profile細根 誠

『しろくま生花店』オーナー。2009年、東京・牛込神楽坂に生花店をオープン。日常生活で、花から季節を感じてもらいたいと、時季の花の鮮度にはこだわりが。店主自ら塗った漆喰の壁の店内に、古材で制作し...アーティスト詳細を見る


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